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3話(最終話) 黄色いカーディガンの女の子
今まで何人の人を追い返しただろうか…。自分で追い返したというのに、私の痛みは誰にも言うことが出来なかった。
こんな子は初めてだ。似たような悩みを持っている、黄色いカーディガンの子。何人目だろうか…。カーディガンの子は美紅に気づくと、ぽつりと言った。
カーディガンの子「うちに帰るたびに、増え続ける痣を、消し去ってしまうた
めにここに来たの。」
似たような悩みを持っているは止めることができない、そう思っていたのに、声をかけてしまった。
美紅「ねぇ、やめてよ。」
声をかけてから、自分が何を言ったのかが分かった。
美紅思考(ああ、どうしよう。この子は止められない。私には止める資格がな
い。)
そう考えながらも、カーディガンの子に向かって更に言った。
美紅「私は、君を止める資格はない。それでも、ここからは消えてよ。君を見
ていると苦しいんだ。」
カーディガンの子「…分かった。今日はやめておくよ。」
そう言うと、うつむいたままカーディガンの子はどこかに行ってしまった。
もうそこには美紅以外誰もいない。
美紅思考(私一人だけ。)
黄色いカーディガンをぬいで、三つ編みをほどいて、背の低い美紅は
屋上から飛び降りた。
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