幸運を掴む手袋

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幸運を掴む手袋

現代のどこかであったかもしれない出来事。 どこかの街で、ひたむきに努力し成功する事を夢見る青年がいた。 青年の実家は貧乏で、貧しい生活を送っていたが、いつの日か大金持ちになることを夢みていた。 ある時は、パーティに参加したり、 ある時は、友人からの誘いでビジネスを始めたり、 とにかく、行動力だけが取り柄だったので、 あらゆる方法を試していた。 そんな時、町外れの商店街で、とある老婆から、 ある商品を勧められる。 老婆「これは、幸運を掴む手袋。これをつけたものは、幸運が赤い線として見ることができる。赤い線を掴んでその先に行くと幸運がまっているのじゃ」 青年は何を馬鹿なと思っていたが、 未だに成功を出来ていない焦りからか、 幸運の手袋を老婆から買った。 値段にして、30万円。 決して安い買い物ではないが、それでも幸運を掴めるならと、賭けであった。 顛末から話すと、この手袋は本物だった。 手袋をつけた途端、幸運の印である赤い線が沢山見え、その先には、幸運が待っていた。 ある時は、宝くじを当てたり、 ある時は、インフルエンサーとお近づきになれたり 次々と幸運を我がものとしていた。 青年は、毎日毎日パーティーを開催して、 浴びる様に酒を呑み、遊びほうけるようになった。 そんな毎日なので、 すぐに金はつきた。 しかし、青年は幸運の手袋を持っていたので、慌てることはなかった。 金がなくなっても、手袋を使ってまた成功すれば良いと考えたのだ。 しかし、幸運の赤い線は一向に見えなかった。 壊れたのかと思い、あの老婆の元を訪ねたが、 老婆は素っ気なく言う。 老婆「この手袋は幸運を発生させるのではないのでね。あんたに幸運が仰山見えてたのは、それまでの日頃の行動の結果じゃて。あんた成功を掴んだ途端、努力すんの辞めたじゃろ。じゃったら、幸運は見えん。幸運は日頃の行いによって近づいてくるんじゃ。」
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