1人が本棚に入れています
本棚に追加
白虎国軍隊:基地
「仕方ない……最終段階、いくか」
ゴーグルの奥の瞳を細めて、皐月が冷酷に告げる。
その言葉に、見るからに捕虜の三人が体を震わせ、青ざめていくのがわかった。
これ以上、まだあるのか、と思っているに違いない。
皐月自身、最終段階に移行することを可哀想に、とは思うものの、それだけだ。
部下たちに指示を下そうとした時、部屋の扉が薄く開いて、顔を出した木蓮が声をかけてきた。
「皐月さん。椿さんが呼んでますよ」
「椿が?」
特に思い当ることがなかったので皐月は、はてな?と首をかしげた。
何か状況が動いたのだろうか。
皐月は指示を出すのを後にして、部下たちに見張っとけ、とだけ言い残して上へ向かった。
***
鎖に繋がれた捕虜三人を見下ろして、芙蓉が呟く。
「まさか、最終段階まで粘るとはな」
棍棒を片手に、睡蓮が皮肉な笑みを浮かべる。
「一般兵にしちゃ、ある意味すげぇよあんたら」
視線を落として芍薬が小さく呟く。
「けど、今はその不屈の精神が裏目に出たかもな」
蓮華が楽しそうに笑う。
「早く言わなかったこと、後悔させてやるよ」
***
最初のコメントを投稿しよう!