森羅万象

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彼はこの世のすべてを知りたいと思い、万物を知る術を得た。 宇宙を、いやその果てすらも知ることができると彼は胸を躍らせて実行したのだ。 それから1年が経っていた。 あらゆる理を知った彼は今…… 「あ~……人生つまんねぇ……」 なんとベッドに寝転んで鼻くそをほじくってるではないか! 確かに彼は全てを知ることができた。 だのに知る前となんら変わらない、いやそれ以上に体たらくな人間となっていた。 そう、未知だからこそ人生は楽しいのだ。 これは大人になるにつれて人生がつまらなくなるのとよく似ている。 子どもの頃は右も左も分からない純粋無垢で無知な状態。 あらゆる物事は未知となり、無知なりに想像をふくらませられる。 その好奇心が人生を輝かせる。 しかし大人になるにつれて世界の現実、社会の現実、身の回りの現実を知ることになる。 そうして狭い空間でしか生きられないことを悟ってつまらなく感じるのだ。 全てを知ってしまった彼はこの世に好奇心を失い、自堕落な人間になりましたとさ。 めでたくなしめでたくなし チャンチャン
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