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Misunderstanding leads to sweetness.
『明日、仕事帰りにどこかで待ち合わせしないかい?』
昨夜の、フレデリックの台詞が辰巳一意の脳裏を過る。いつもなら辰巳よりも先に到着して待っているフレデリックが、今日は姿が見えないどころか既に約束の時刻を五分ほど過ぎていた。何かトラブルにでも巻き込まれているのではなかろうかと、柄にもなく不安が込み上げる。
フレデリックの仕事の都合で英国はロンドンまでやって来た辰巳はつい先日、誘拐事件に遭遇したばかりだ。幸運にも攫われた先でフレデリックと出会い、難を逃れる事の出来た辰巳である。
どうにも、もはや運命ではなかろうかというくらい、これまでにも辰巳は大小さまざまなトラブルに巻き込まれる。その都度フレデリックに小言をくらい、仕置きと称して躰を弄ばれている辰巳が、またもや自分は何か過ちを犯しただろうかと僅かに不安を覚えるのは致し方のないことだったろうか。
フレデリックが指定した待ち合わせ場所は、オックスフォードストリートにあるどでかいショッピングセンターだ。時間と詳細は後で連絡すると、そう言って仕事に出掛けたフレデリックからの連絡は、多忙を理由にフレデリックの部下から辰巳にもたらされていた。
ショッピングセンター一階のカフェに、午後六時。
アメリカ英語に慣れた辰巳にとって、イギリス英語は些か馴染みが薄い。それでも、聞き間違いはないはずだった。
――まあ、仕事が片付かねぇとかそんなところだろう。
フレデリックに限って、誘拐されるなどあり得ない。もしフレデリックを誘拐するのなら、それこそ軍隊でも連れてこない限りは不可能だろうと、そんなくだらない事を思って辰巳は苦笑を漏らした。
胸元の携帯が微かに振動する。
――フレッドか。
フレデリック”かもしれない”ではない。確実に相手がフレデリックであるという確信が辰巳にはあった。何故そんなことが分かるのかと、疑問に思うまでもなく辰巳は出会った頃からフレデリックからの連絡だけは表示される名前を見るまでもなく予知できる。
果たして胸元から取り出した端末の液晶に、”Frederic”と予想通り浮かんだ文字を見つけて辰巳は微かに喉を鳴らした。その表情がどこか満足そうであることはフレデリックとて知りもしないだろう。
「俺だ」
『っ…辰巳!』
些かならず慌てた声で名を呼ぶフレデリックに辰巳の顔に怪訝な色が浮かぶ。
「なに慌ててんだお前」
『当たり前だろう!? キミがいつまで経っても待ち合わせ場所に来ないから、また何かトラブルに巻き込まれてるんじゃないかと』
「はぁ? 遅刻はお前の方だろぅが」
待ち合わせの時間より十分も前に到着していると、辰巳がそう告げればフレデリックが絶句する。
『……キミは、いったいどこにいるんだい…?』
やがて聞こえてきたフレデリックの声は、不安に満ち満ちていた。次いで、ブツブツと独り言が聞こえてくる。
『僕が辰巳を見過ごすはずなんて…有り得ない…』
「あぁん? ショッピングセンター一階のカフェだっつぅからわざわざ来てやったんじゃねぇか」
『一階!?』
突如ボリュームを上げたフレデリックの声に、辰巳が顔を顰めた事は言うまでもない。舌打ちとともに耳から離した携帯を睨みつけ、辰巳は低い声を出した。
「うるせぇんだよ阿呆。てめぇが部下に指示したんだろぅが」
『いや僕は……あぁ、それよりも早くキミの顔を見て安心したい。すぐそっちに行くから待っていて辰巳っ』
返事をする間もなく切断された回線に、辰巳は端末をテーブルの上に放り投げて溜息を吐いた。
数分と待たずして店の入口へと姿を現したフレデリックは、辰巳の姿を認めるなり脱兎のごとく近付いてきた。あっという間に横並びの席に着いたフレデリックが、テーブルの上に乗った辰巳の手をぎゅっと握り締める。
「あぁ、辰巳…キミに何もなくて良かった」
「大袈裟だろぅが」
大袈裟なフレデリックの仕草に周囲の視線が集まるのを感じて、辰巳は慌てて握られた手を引き抜いた。欲を言えば、並んだ席ではなく向かい側に移動しろと言ってやりたい。だが――。
「だって、キミはいつもトラブルに巻き込まれるじゃないか」
拗ねたような表情の中に不安を押し隠すフレデリックの顔をみれば、苦笑を漏らさざるを得ない辰巳である。言い訳…否、反論をしたい気持ちは山ほどある辰巳ではあるが、フレデリックを心配させている事実に間違いはない。
フレデリックの注文を受けて去っていくウェイターの後ろ姿を見るともなく眺めながら、辰巳は冷めたコーヒーを口に運んだ。
「で? なんだってこんな場所で待ち合わせようなんて思ったんだお前は」
「それはもちろん、キミとデートをしたかったから」
きっぱりと告げられたフレデリックの台詞に、辰巳が渋い顔で溜息を吐いたことは言うまでもない。だがしかし、ロンドンでの仕事がすべて片付いたと、これで再び日本に帰れると、そう嬉しそうに話すフレデリックを見ているうちに辰巳の表情は和らいだ。
「頑張った僕を甘やかして」
「ったく…」
呆れたように言いながらも、辰巳はフレデリックの要望を退けようとはしなかった。それどころか武骨な指先で金色の前髪をさらりと掬い上げる。左手の薬指に嵌まったフレデリックと揃いの指輪が柔らかく光を反射させた。
「仕方のねぇ野郎だな」
甘さを含む低音に囁かれ、フレデリックの頬が微かに朱を帯びる。
「辰巳…」
愛しい辰巳に甘く囁かれたフレデリックが平常心を保っていられるはずもない。運ばれてきたばかりのアイスティーを一気に飲み干したフレデリックは、すぐさま立ち上がった。その手には、辰巳の腕ががっちりと握られている。
「もう我慢できない」
「おい…っ」
大柄な辰巳の腕を軽々と引きさっさと会計を済ませて店を出る。そんなフレデリックの後ろ姿を、買い物客が何事かという顔で見送った。
フレデリックに引きずられるがまま辰巳が連行されたのは、ショッピングセンターに併設された宿泊施設。近代的な外観とは裏腹に、英国らしいアンティークな内装が観光客にも人気のホテルである。
予約もなくレセプションへと現れた二人組に顔を曇らせていたスタッフは、だがフレデリックが名乗った途端に態度を一転させた。カードキーを満面の笑みで差し出すスタッフに、辰巳が胡乱げな視線を向けた事は言うまでもない。
ドアを開けて部屋へと足を踏み入れれば、ロンドンの街並みが一望できた。南側に大きくとられた窓からは、南西にハイド・パーク。南にバッキンガム宮殿を望み、南東にビッグ・ベンとロンドン・アイが見渡せる。フレデリックのように突然訪れる上客のためにホテルが常時空けている特別室だ。
部屋の中央でようやく解放された腕をさすりながら、辰巳はどっかりとソファに腰かけた。
「お前なぁ、いちいち引っ張って来るんじゃねぇよ。口で言えばわかんだろぅが」
「辰巳が僕を舞い上がらせるのが悪い」
「はぁ?」
腹立たしさも通り越し、もはや呆れるしかない辰巳の腕をフレデリックがそっと掴んだ。
「痛かったかい?」
「別にたいしたことはねぇよ」
ほんのりと赤みを帯びた手首へと幾度も口づけるフレデリックに、辰巳の頬が微かに上気する。
「怒ってる?」
「お前相手にこんくれぇでいちいち腹立ててたら、落ち着く暇もねぇだろぅが」
かといって、辰巳が上機嫌でもないのはどこから見ても明らかだった。抜き出した煙草を咥える辰巳へと、フレデリックがさっと火を差し出す。
「でも怒ってる?」
「しつけぇな。怒ってねぇよ」
もはや呆れていると、辰巳がそう言えばフレデリックは小さく「ごめん」と謝った。
「心にもねぇ謝罪を口にするくれぇなら、とっとと亭主の機嫌とりでもしてみせたらどうだ」
ニッと上がった辰巳の口角へと、フレデリックが勢いよく噛みついたことは言うまでもないことで。
微かな軋みをあげてソファが辰巳の大きな背中を受け止める。火を点けたばかりの煙草は、フレデリックの手によってあっという間に灰皿の中でひしゃげることとなった。
「辰巳っ、愛してる…!」
「何がデートだこのタコ。結局ひきこもるんじゃねぇか」
「だって、外にいたらキミはキスも許してくれないだろう?」
「当たり前だろぅが阿呆」
「だったら、こうしてキミを密室に連れ込む以外に手はないじゃないか」
悪びれもせずに言ってのけるフレデリックの口づけを辰巳は無言で受け入れた。すぐさま口腔へと入り込む舌先を悪戯に上下の歯で挟み込む。
「ッ…」
唇の隙間から微かに息を漏らし、痛みに躰を強張らせるフレデリックを辰巳は抱き寄せた。ぎりぎりと舌先に食い込む歯列にフレデリックの眦に透明な雫が浮かぶ。痛むだろう舌を容赦なく吸い上げれば微かに鉄の味が辰巳の口内に広がった。
「は…っ、っぅ」
震える指先が背に食い込む頃になって、辰巳はようやくフレデリックを解放した。
「ぁっ…ぅ」
安堵したように脱力するフレデリックを抱き留める。長い脚の間に潜り込ませた太腿を摺り上げれば、フレデリックの硬くなった欲望がはっきりと存在を主張させていた。
「舌噛まれて気持ち良くなってんのか?」
揶揄うように耳元に囁く辰巳の声に、フレデリックがゆったりと顔をあげる。欲情に濡れた碧い瞳が辰巳の顔を映し出していた。
「血の味は…あまり好きじゃない」
「その割に、ガチガチにおっ勃ってんじゃねぇかよ」
「キミになら、何をされても僕はこうなるよ」
潤ませた瞳で困ったように微笑むフレデリックへと、辰巳は無意識に口づけていた。労わるように舌先を舐る。
「は…っ、ぁッ、タツ…ミ…」
水音と、フレデリックの艶やかな声が部屋に響く。
口づけを交わしたまま辰巳はフレデリックのシャツのボタンを外していった。露わになった胸元を軽く引き寄せれば、薄く色づいた小さな飾りをフレデリックが自ら辰巳の口許へと運ぶ。
「舐めて…辰巳」
返事を返すまでもなく、押し付けられた飾りを唇で挟み込む。途端に硬さを増して立ち上がった突起を辰巳は舌先で圧し上げた。
「んッ、ふ…っ、ぃぃ……辰巳ぃ…」
黒髪の中へと潜り込んだ長い指が切なげに頭を掻き抱く。ただ胸を弄るだけで堪えるように震えるフレデリックの下で、辰巳はふっと目元を緩ませた。
「気持ち良いかよ」
「ぅ…んっ。良…ぃ……良いッ」
「良い子だフレッド。素直な嫁には褒美をくれてやる」
言い終わるが早いか、小さいながらも存在を主張する小さな突起へと辰巳はきつく歯を立てた。仰け反るフレデリックの悲鳴が耳朶を叩く。次の瞬間、ひときわ大きくフレデリックの躰が辰巳の腕の中で跳ねた。
「んっ、…はッ、あ、っぅ、……うぅ…」
「はッ、乳首噛まれてイっちまうなんてとんだ淫乱だなお前」
じわりと生温かな体液が上質な布地にシミを作る。その卑猥さに、辰巳は紛れもない欲情を覚えた。ムードもへったくれもなくベルトを抜き去って、フレデリックの下肢をひん剥いた辰巳は自らも硬く質量を増した屹立を躊躇いもなく取り出す。
フレデリックの大きな躰を難なく浮かせて自らの腰を跨がせる。腹につきそうなほど反り返った雄芯を手荒く支え、辰巳はフレデリックの後孔へぴたりとあてがった。
「欲しいか?」
「あ、欲しい…っ、辰巳…!」
「くれてやっからそのまま腰落とせ」
傍若無人を音にしたような口調で言われようとも、フレデリックが気にするはずもない。辰巳に命じられるがまま腰を落としたフレデリックの後孔は、卑猥な水音とともに熱い肉棒を飲み込んだ。
たいして慣らされてもいない入口が僅かに引き攣れて、フレデリックが眉根を寄せる。苦しそうなその表情が余計に辰巳の情欲を煽るなど、本人だけが気付いていなかった。
「アッ、アァ…ッ、タ…ツミ…っ」
「まだ奥まで挿入んだろぅが…ッ」
強引に腰を引き下げられてフレデリックの唇から声にならない息が漏れる。全身を硬直させて躰を震わせるものの、その顔に浮かぶ表情が歪な快楽に染まっているのを辰巳は見逃しはしなかった。
「突っ込むだけで満足してんじゃねぇよ変態。さっさと腰振って愉しませろ」
「はぁ…ァッ、もっと…」
「ああ? もっと、なんだ? 言ってみろ」
「もっと…欲しいッ」
切なげに眉根を寄せて倒れ込むフレデリックを辰巳は抱き留めた。引き攣れた襞に痛みを感じないはずもないくせに、妙な健気さを纏う姿に心を搔き乱される。
「ッ、お前…」
「タツ…ミ…、好き…」
眦に雫を浮かべたままうっとりと囁くフレデリックが艶やかに微笑んだ。
「僕の…旦那様…」
いつの間に捕らわれた辰巳の左手。薬指に嵌まった指輪へとフレデリックが愛おしそうに口づけを落とす。
「…は、参った…。お前にはやっぱ敵わねぇな」
雄芯を食ませたまま上体を起こした辰巳は、フレデリックを広い座面へと組み敷いた。
大柄な二人が横になろうともまだ余裕のある大きなソファの上で、辰巳とフレデリックは互いの肌の熱さを確かめ合う。これまで幾度も肌を重ねてきていても、触れれば触れるだけ、もっと触れていたくなる。
「もっと…僕を満たして…」
「いくらでもくれてやる」
甘えるように伸ばされた腕へと躰を預ければ、嫁というには些かならず逞しい腕が辰巳の背中を抱き締めた。
ぐ…と腰を推し進めればフレデリックの喉元が反り返る。透けるような白さにもかかわらずまったく弱々しさを感じさせない喉元が、辰巳の台詞に反応するように艶めかしく上下した。
「ぃっ…ぃ、もっと…奥まで…っ、キミでいっぱいにして…ッ」
「馬鹿、これ以上煽るんじゃねぇよッ」
欲望のままにフレデリックを犯したい衝動に駆られて辰巳は顔を顰めた。たまには優しく抱いてやろうなどという気持ちは、真綿よりも軽く吹き飛ばされる。
いくらか乱暴にしたところでフレデリックがどうなるものでもないのは分かりきっている。けれども、何故だか今日は甘やかしてやりたいと、辰巳はそう思うのだ。
それが、ほかならぬフレデリックの望みだったから。
――ったく、人の気も知らねぇで…。
色気にあてられて思わず流されそうになるのをぐっと堪え、辰巳は長い息を吐き出した。武骨な指先が、金色の髪に潜り込む。
「たまには甘やかさせろよ…このタコ」
「だって、こうしているともっともっとキミが欲しくなるんだ…」
「欲の深い野郎だよお前は」
「でも好き?」
「ああ。好きだ、フレッド」
日の長い時期のロンドンでさえも窓の外に帳が下りる時刻まで、辰巳はフレデリックを文字通り甘やかし続けた。
香ばしいコーヒーの香りに鼻を鳴らし、辰巳はぼんやりと目蓋をあげた。精緻な文様の描かれた天井に、昨晩そのまま眠りについてしまった事を思い出す。
甘いだけではとどまらず、乱れに乱れた一夜を過ごした痕跡は部屋の中のどこにもない。ただ、躰だけが情事の後の気怠さを纏っていた。
「起きたかい? 辰巳」
「ああ…」
ぴくりとも動いた覚えもないというのに、あっさりと目覚めを察知されては苦笑が漏れる。
「コーヒー…の前に煙草かな」
フレデリックは白いカップを置いて、代わりにテーブルから煙草を取りあげた。手慣れた仕草で火を点した煙草を口許に差し出され、辰巳は僅かに開いた唇でフィルターを食んだ。
「朝食は食べるかい?」
「どうせもう昼だろ」
「まぁね」
時計を見るまでもなく、高い位置にある太陽が大きな窓に掛けられたカーテンを通して存在を主張している。
「フライトまでの待ち時間に、空港で軽く何か入れようか」
「あん? もう帰るのか?」
「僕はもう少し、キミとの旅行を楽しみたいんだけれどね」
そう言って笑みを浮かべたフレデリックが差し出したのは、辰巳の携帯電話だった。
「匡成から電話が入っていたよ」
「はぁん? 何かあったのか」
「さぁ。僕は詳しく聞いていないけれど」
内容が何であれ、匡成に戻れと言われれば辰巳やフレデリックが歯向かえる筈もない。チケットは既に手配したと、そう告げるフレデリックに抜かりはなかった。
短くなった煙草を揉み消し、コーヒーを啜っていればふと隣に座るフレデリックが動きを止める。
「ところで辰巳。キミはどうして昨日、一階にいたんだい?」
「あぁ? お前が部下にそう言ったんじゃねぇのか」
「いや、僕は確かに二階と…」
そう言いかけて、不意にフレデリックは黙り込んだ。その顔に、奇妙な表情が浮かぶ。
「あぁ、僕としたことが…うっかりしていたよ」
困ったような、可笑しそうな、複雑に感情の入り混じったフレデリックの表情に、辰巳は怪訝な顔をした。
「あん?」
「イギリスではね、一階をグランドフロア、二階をファーストフロアと呼ぶんだ」
うっかりそのまま部下に伝えてしまったと、フレデリックは小さく笑った。
「しかしまぁ、お前の過保護っぷりはどうにかなんねぇのか? たかが待ち合わせの場所にいねぇくらいで大騒ぎするんじゃねぇよ」
「だってキミはすぐトラブルに巻き込まれに行ってしまうから」
「俺ぁ望んで巻き込まれた事なんぞ一度もねぇよ」
ふいと顔を背ける辰巳は、だが確かに自らトラブルを引き寄せている自覚がある。否、ただ回避しようとしないというだけの事ではあったが。
フレデリックに言えば確実に機嫌が悪くなるだろう事実を思い浮かべ、辰巳はだが密かに心の中で笑みを零すだけだった。だが――。
「僕に言えない事を考えているね?」
「ッ!?」
驚くのもつかの間。あっという間に辰巳の躰はフレデリックの手で寝台へと囲われる事となった。
「こんなに健気な奥さんに隠し事をするなんて、イケナイ旦那様だねキミは」
「誰が健気だって?」
「僕」
「言ってろ阿呆」
取り合っていられるかと、吐き捨てた辰巳ではあったのだが。その後、フレデリックの手で本音を吐かされたことは言うまでもない。ついでに、フレデリックが満足するまで愛を囁かされたとかされなかったとか…。
END
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