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最有力モテ候補
ほくほく。
ほくほくしてます。俺は。ふふふ。
「ちょっと。ニヤニヤすんなよ。気持ち悪い」
シバちゃんの冷たい声も気になりませーん!
「だってぇ、シバちゃん。聞いた??俺のこと……最有力モテ候補って」
ここは例の総ちゃんのオトモダチ主催合コンの会場……っつーか居酒屋。ちょっとおしゃれな。
さっきそのオトモダチって人に「あ、君が総司の紹介の?うわ、またいい人紹介してくれたなぁあいつ。君、最有力モテ候補だな。よろしくね!」ってさ!ね!ね!この人絶対いい人!
まだ全員揃ってないけど、テーブルの感じだと女の子は6、7人来るのかな?
「あんたね。人の口はお世辞も言えれば嘘もつけるんだよ。覚えときな」
「シバちゃん。男の嫉妬はみっともないよぉ?俺の方がモテそうだからって」
「仮に。最有力モテ候補が本当だとしても、今のそのニヤニヤ顔で戦力外降格だから」
「言っときなさい言っときなさい。今日の俺は一味違うよ」
なんていう会話をね、ひそひそひそひそ……メンツが揃うのを待ちつつ、してたわけ。
今すでにいる4人の女の子もかなり可愛いぞ。うん。レベル高し!
「ねーねーシバちゃん。今いる中だったらどの子がタイプ?」
耳元にひそひそやると、鬱陶しげに避けながら「いない」って。
「え、1人も?お前結構キビしいね……」
4人掛けのテーブルにはオレンジと白のチェックのクロスがかけられ、それを4つ合わせて並べて一つの大きなテーブルにしてあって、俺とシバちゃんはその端っこに座ってる。
窓際の2人掛けのテーブルにはカップルも多くて、なんだか店内の空気も華やいでて……いやぁーわくわくする!
「すんごい楽しそうだね……」
少し呆れたような……でもちょっと笑ってる顔でシバちゃんが俺を見て呟いた。
「当たり前じゃん!お前、楽しくないの?」
「俺は今日保護者だから。あんたが二度とアヤマチを犯さないように見張っててあげる」
「大きなお世話ですぅ~ 今日俺はいい予感しかしないよ!」
「それは今日に限ったことじゃないでしょうが。ほんとめでたい人だね」
くっくって笑うシバちゃんはすごく楽しそうで、なんだ、お前だって楽しみにしてんじゃん!って俺もより一層テンション上がる!
合コンが始まってもしばらくはそうやって、2人でつつきあってしゃべってた。
俺は実は初対面は人見知り気味で……大体最初は様子見から入るから。
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