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話を聞いてポカーンと口を開けてる私に恥ずかしそうに鈴木さんは笑って。
「次またいつ帰ってくるかもわかんないからさ、祝いに回らない寿司奢らされたよ」
「そう、でしたか」
言われてみれば、可愛い人だったけれど。
鈴木さんに似てた、かも。
美系兄妹だ、すごい!
と、いうか……。
バカだ、私ってば!!
ずっと誤解して一人で苦しくなって、もう鈴木さんには会わないようにしようだなんて。
勝手に失恋した気分でいたこの二か月……、何してたの!!
「仲良しなんですね」
「シスコンだと思ってんでしょ! 笑わないでよね?」
あ、あからさまに私顔に出ちゃってる、笑っちゃってた。
鏡越しに鈴木さんを見ると、ぷうっと口尖らしてる。
「違います、そういうのじゃなくて」
「じゃあどういうの?」
「え、と」
良かった、鈴木さんに彼女がいなくて、とか言えない。
バカみたいに誤魔化し笑いしてるしかない、バレちゃわないように。
そんな私のホッとする気持ちを断ち切るのは。
「あのさ? 里穂ちゃんは何で他の美容室に乗り換えたのかな?」
笑ってる私を訝しげに見ていた鈴木さんは突然ドストレートな直球を投げつてきた。
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