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「担当のご希望はございますか?」
受付の方の質問に頷いて。
「鈴木さんを」
「少々お待ち下さいね」
本日の予定とにらめっこした後で彼女は鈴木さんの方へ。
お客様のカットをしながら困った顔して首を振る姿を見ると、うん、そうよね。
「申し訳ありません、あいにく鈴木は本日予約が埋まっておりまして、もしよろしければ他の者が担当させて頂いても」
「あ、いえ、いいです、いいです! また出直しますんで」
鈴木さんは人気があるから、いつもなら必ずネットで予約してから来てた。
でも今日は突然来ちゃったんだもん、私が悪い、というか。
本当はもうここへは来るつもりなかったのに……。
やっぱり来なければ良かった。
こんなに苦しくなるなら。
一目見ただけでも苦しくなっちゃうなら。
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