進捗どうですか

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「な~んだぁ!そういうことだったのかぁ!!」  目の前でもじもじとする女の子に笑いながらも、安堵のため息をつく  学生時代は女子に話しかけられるイコールほぼ涼太郎の仲介役としてのポジションばかりだったし、まさか俺にもと思ったが予想外の理由で緊張が解れた 「……ごめんなさい、変な言い方しちゃって」 「いやいや!俺こそなんか勘違いしちゃって、けど話しかけられてめちゃくちゃ嬉しいよ」 「ほんとに?なら良かった……あっ、私立花(たちばな)友夏(ゆうか)です。好きに呼んで!」  こんな間近で、更に今どき女子大生のゆるふわの栗色ショートヘアーに控えめのサーモンピンク色のリップ……サーモンピンクって言い方は正しくないかもだが性格だしまぁいっか  しかもいい匂い……マジでなんで女子って意味の分からんいい匂いすんだよ。てかさっきから俺童貞男子高校生とおじさんみたいな発言しかできてねぇなぁ!? 「……じゃあ友夏ちゃんって呼んでいい?俺のことも名前で呼んでいいよ、祥春っていうんだ」  平常心を保ちつつも自己紹介をして俺は内心思う。ネット見た通り最近の腐女子は周りに擬態するのが上手いんだな……いや俺が知らんだけだったり  だけど、本当に……俺の目の前に居る可愛い友夏ちゃんが俺と同じ腐れ族だったなんて 「祥春君っていうの?なら、はるちゃんって呼んでいい?」 「いいにきまっ……!」  グッと親指を突き出し友夏ちゃんへと向けた瞬間、後ろで歩く涼太郎を見つけてしまい言葉が止まる……そりゃ同じ大学通ってんだから当たり前だけどタイミングの悪さよ  けど謝るなら早い方がいいよな、なら今声をかけて呼び言うべき……だよな? 「りょた……」  大きな声は出たものの、顔を合わせるのはあれ以来だ……無意識に蘇る記憶と共に声が小さくなる  そして消えゆく俺の声が聞こえたらしく、こっちに気づいて涼太郎が見てくるのに声をかけたは当の本人である俺は何故か目を逸らしてしまった 「あの人、はるちゃんの知り合い?」  何も知らない友夏ちゃんはこちらを睨んでくる涼太郎を指さすも、申し訳なさと色々の感情が混ざり合い小さく頷きながらも、目を逸らしたまま手を振る  当然の結果か何も言わずに去っていく涼太郎の背中、離れていく姿がもう修復の出来ないことを表している気がして自業自得なのは分かっていても盛大に落ち込む。気分はまるで底なし沼に突き落とされたような気持ちだった
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