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突っ立ったまま、そうボヤく涼太郎をマジマジと見つめる
「……エイプリルフール?だとしても、もう終わってるぞ、涼太郎」
スマホの画面を見て日付を見るが全然違うしと顔を上げれば、呆れてものも言えないのか可哀想なやつを見るような目で俺を見てくる
「……今まで俺がお前に嘘をついたことがあったか?」
「ない……けど、大学デビューと同時におちゃらけデビューみたいな」
おちゃらけデビューってなんだよ、とため息混じりに言われて口を尖らせる
俺の表情に一瞬目を逸らすも、そっと隣に腰を下ろして手を握りる……握るというか指を絡まされたというか、むず痒い
「俺も最初は流石に『ない』って思ったよ。小学校から一緒のお前に今更、なんなら友達っていうか弟だと思ってたし」
「おと……!うるせぇよ、あほ! 」
「しかも……あの時のこと思い出すと正直、キスまでしたのもだけど。何やってんだよって改めて冷静になったし……お前の今言ってることも分かる」
喋りながらもほっぺたをスリスリと撫でられて、なんでか知らないがそれにムッとすれば口角をゆっくりと上げイケメンスマイルの涼太郎さんと目が合う
「けどさ、今日……祥春が女と一緒にいたのが見えてなんかイラってしたっていうか。モヤ……だったかな、そんな感じになったんだ」
「女友達って分かった今は?」
「……今は、そうだな。なんとも思わないよ」
顔立ちのいい横顔を目の前に触ってきている手の首を掴み、なら……どうしてと口に出して再び戻る視線
今まで恋愛などしてこなかった、強いて言うなら男同士の恋愛を描いて読んでの知識しか無かった。だからなのか、幼馴染みの涼太郎のこんな話は初めてだ……
「じゃあさ、別に涼太郎が俺の事が好きに結びつくの……?」
「……ホッとしてるんだよ、今は。けど多分また……お前が知らない奴と楽しそうにしてたら妬くかもな。それが男でも」
少し笑うも頭を乱暴に撫でられてギャッと悲鳴をあげつつも、声を出し笑う涼太郎をひと睨みして髪を直す
「ならさ、試してみようよ。涼太郎が本当に……男が好きなのか…をさ」
小さな好奇心に火がつき、俺は声に出す『男が抱けるのか、どうか』とその言葉に涼太郎の目に俺が映るのが見えた
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