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「おい!バカバカ!!何してんだ、この!!」
何も言わずとベッドへと押し倒され、状況が飲めずにパチクリと涼太郎を見ていれば降ってくるチューにギョッとして思いっきり腹に蹴りを入れる
俺の言葉と蹴られていることにキョトンとする顔に、力いっぱいの蹴りを入れたにも関わらずビクともしない……引きも籠って絵ばかり描いているせいなのか、涼太郎にとってくそ雑魚の蹴りは痛くも痒くもないんだろうが少しイラつく
「何……ってお前が」
「は!?言ってないよ、俺は『男』がって言ったんだよ!『俺』とは一言も言ってない!!」
「……つまりどういう事だ?」
すれ違い事故なのか、本当に涼太郎が聞き間違えたのか。それよりも俺を押し倒したままにしたのをそろそろやめろと言いたくなる
「どうもこうも、俺が好きなんじゃなくて男が好きなんじゃないかって言いたいんだよ。実は……って可能性もあるじゃん」
半分俺の理想……を入れているかもしれない。現実と2次元を区別できてないわけじゃない、でも知らない内にこの男はただイイ感じに俺という対象者が居たから『俺』が好きなど抜かしているが……それは大まかに同性が好きに当たるんじゃないかと
「……別に、男になにかしたいとか思ったことなんて1度も」
「そんなこと100も承知だ!同性愛者は性対象が同性全員がって訳じゃないし、人それぞれの好みだってある、だろ?俺が何年ホモ界隈で生きてると思ってるナメるな!」
そんな自分の価値観を特有の早口で言ってしまうも、冷静に……考えながら疑問が浮かぶ
「……え、涼太郎って……アレさっき俺になんて言ってたけ?」
思わず興奮のあまり涼太郎が最初なんて言っていたかすっかり忘れて、俺の言葉に眉間のしわを寄せ怪訝な顔をされる
「お前……話聞いてなかったのか?」
「き、聞いてたよ……あれ、あれだろ俺が好きな理由としてその~だから……ははっ」
聞いてなかったわけじゃない……けど今更思い出してしまい、あぁあんなこと言ってたなと蘇る記憶にドンドンと羞恥を感じ始める
「つ、つまり……涼太郎は俺が好き?男とか同性がじゃなくて、俺?」
「……何度言わせるんだ、それとも言われたいのか?」
「ち、ちがわい!そういうんじゃなくて、普通にお前が今まで付き合ってた女の子のタイプとまんま逆だろって思ったんだよ!!」
思い返すば返すほど、中学に遡って高校と順繰りするがどの子も明るいというか大人しめ……元気というより優しめ。The優等生と言うような可愛らしい子だった、けれど見なくたってわかる
ズボラだし可愛くもない、かと言ってかっこよくもないし。男としても人としてそこまでの良さがない……俺を?ある意味、涼太郎の脳みそを覗かせて頂きたいくらいに不思議でたまらない
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