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中学2年生の夏を迎える頃、涼太郎に初めて彼女が出来た時。衝撃……と言うのはなく『やっと付き合ったんだ』と軽い感情と半分はどうでもいいというものだった
控え目でどちらかと言えば目立たない、かと思えば可愛らしい子で真面目な涼太郎にお似合いと言えるカップル……それから色々あって数えてはないけど紹介された彼女はそれとなく涼太郎と雰囲気の似た子ばかりだった気がする
だからある程度の涼太郎の女の子の選ぶ好みに対してなんとなく察してはいた、だからだったのか……俺を好きと言われた瞬間にこいつドッキリでもするのかと
「……その、涼太郎は、昔から好きだったとかはないんだよな?流石に……ないよな?」
「あったなら今じゃなくてもっと前から言ってたから、昔からじゃ……ない。けど……」
しかしこの男がドッキリをするタイプでも無ければ、人を騙そうと堂々と嘘をつく奴ではないことは……小さい頃から一緒に居た俺が、俺自身がよく分かっているはず
「何だかんだ、ヤキモチは妬いてたよ……高校の時くらいから」
「え?……な、なんかやった俺?」
「お前はしてないけど、部活で忙しくなってお前と一緒に……行動しなくなって。お前はお前で友達と遊んだり喋ったりしてるのに対して、ちょっとだけな」
涼しい顔をして言われる言葉、今となれば過去だけどと付け足されて思い返しても涼太郎からはそんな雰囲気を感じなかった……それはまぁでも『幼馴染み』という立場的なもんなのかもしれない
自分にも少しだけ似た感情はあった……涼太郎の部活友達やらにあいつはどこに居るだのとどんな子が好きだの。幼馴染みなんだから知っているだろと当たり前に聞かれ、知らんと言い返せば『幼馴染みでも知らないことあんだ』なんて言われた上に部活内の涼太郎のこと話されイラついた思い出
あの時はうるせぇ奴等だと単純に面倒臭くてイラついたと思っていたが、多分あれは俺以上に涼太郎と親しいのだと遠回しに言われているのに腹が立ったんだろうな
「……けど、いまはただ普通に祥春のことが可愛いって思えて……お前の性格なんてちっさい頃から悪い所も知っているんだしな」
「そりゃ、俺も……だけど」
未だに涼太郎が俺を?と思うも優しく頬を指で撫でられて目が合う。押し倒した時と違い優しい目に見られ逸らしそうになる
もしも今俺が女の子……だったなら、ドキドキが止まらないよなんて言うかもしれないが男である俺は心臓の鼓動が涼太郎に、聞こえるんじゃないかと色んな意味でドキドキしてしょうがない
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