見えた境界線

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 暖かい感触にピクリとなるも、耳元で「何もしない」と言われるがさっきの今で言われても信じることも信じれる訳がなく 「……なんだよ」 「いや、向かい合わせの方が変なことされてもすぐ分かるかなって……思ったから」  しかし向いた瞬間に合わせずとも合う、視線に段々と恥ずかしくなり向いたことに後悔しそうになり目線を逸らす  さっきまで何をしていたかと思い出し、狭いわそれなりにくっつかなきゃ寝れないわのシングルのベッドに男二人……意外とギリギリなんだと知れたことは良いが 「……恥ずいな」 「え、なに?」 「向かい合うの、顔の距離も近いし……こう並ぶと意外と照れ臭いなって」  体位に顔が見たいからって、わざわざ正常位にした男の発言かと目を丸くするもまじまじと見ていれば「なんだよ」と言われ口が尖る  キスをしてから急に恥ずかしさが一気にどうでもよくなり、涼太郎の背中へと手を回し……それからあっという間にことは終わっていた  大学受験から運動なんて全くだった上に、ほぼ椅子に座りっぱなしの趣味の日々もあったせいで激しい運動に疲れ一瞬寝てしまっていたのか脱いでいた下を履かされてベッドで横になっていた 『……えっ、もしかしてあれは夢?』 『寝ぼけてんのか……ボケてんのか、なんならもう一度抱いてやろうか?』  冗談抜きの涼太郎の顔に無言で首を振るも、そうかと深々と考えて再びベッドに寝転がれば……身体を軽く退かされて涼太郎も横になりほっぺたへとキスをされて今に至る 「……えっちしてた、時さ。撮影してたら良かったな」 「は?」 「そしたらこう……身体が描きにくい時でも、参考にできるってかしりょ……嘘ですごめんなさい」  向かい合わせだからか、涼太郎のミリ単位で動く顔の表情に秒で謝るも呆れる顔を下から覗く 「……お前、ピロートークとか知らないだろ」 「ぴろー?……枕言葉?何それ知らないよ、俺」 「トークは会話だ、一言喋るだけでアホ丸出しになるなお前は……」 「だっ、だ~れがアホ丸出しちゃんだ!喧嘩売ってんなら、買うぞこらぁ~!!」  近場にある涼太郎の頬を片手でひとつまみしてガンを飛ばすも、じっと見つめるや否鼻でフッと笑われもう片手でつまみンムッとする  見る目が完全に子を見る母親で、調子が狂うが負けじと睨めば今度は声を出し笑われて思わず手を離し体の距離を置こうとすれば腰に手を回され身を寄せられてしまい鼻先が当たる 「そういう所が可愛いんだよ、お前は……」
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