見えた境界線

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 面と向かって言われる言葉がまるで自分で言ったかのうよな無性に恥ずかしくなる 「男に向かって可愛いとか言うな!」  目の前の胸を軽くひと叩きするも、痛くも痒くもないという表情でこちらを見てくる男に狼狽える 「悪かったよ。でもお前だって言ってたことあるだろ」  言ったこと?思い出そうにも全然見覚えがない。涼太郎がバカ真面目な所を1度可愛いとは思ったが口には出さなかったし  後思い出すとするなら、推しか?推しに対しての可愛いって日常会話のおはようみたいなもんだしなあれ 「……生きた人間には言った覚えはないね」 「なんだ、その言い方……生きた人間って。お前はじゃあ何になるんだよ」 「え、俺?……モブ?なんか、こう背景の線も無い人影みたいな感じかな」  少し笑われながらも涼太郎が身体の体制を変えて見てくるのに対し、自分のスペースをこれでもかと取るように顔を胸へと押し付け見上げて見る 「……涼太郎って、彼女とこうやっていつもしてんの?」 「こうやって?」 「だからっ、なんだ……?そのすけべ行為の後、こう今みたいにゆる~い感じ?みたいな さ」 「あんま……ないかな」  じっと見つめ、目が合うも顔にかかった髪を分けられついでのように頬を撫でられる 「つか、まぁ……してる時だとしたら他の奴の話はタブーだぞ」 「な!そんなこと知ってるわ!でも、俺と涼太郎は別に恋人同士じゃないし!!」  童貞でも知ってるに決まってんだろとムッと表情をしてしまうも、涼太郎の表情が固まり「え?」と声を出してしまう  何かそんな引っかかること言ったかと数秒分のことを頭で巡らせるが、どう考えてもそんな……え? 「りょ、涼太郎……?どしたの?」  何故か俺と流れる空間が違うかというくらい、動かない涼太郎のほっぺたを触ればハッとするも手首を掴まれ顔を近付けられた 「うぇ、なっなに?!」 「……俺は、出来ない」 「えっなに……なんの話し?」  急な距離感と涼太郎の言葉に少しテンパる  さっきとはちょっと違う涼太郎の表情に、俺の手首を掴む力、何か言いたげなのは分かるけど……それを聞いても黙ったままで見つめてくる  その目に見つめられながらも逸らすことなく、見つめ返し小さいため息をつかれ手首の掴まれた力が緩むも身を寄せるように抱きしめられ涼太郎の表情が見えなくなった
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