苦労と疲労

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 「なんだこれ」と気の抜けた涼太郎の言葉に、身体を向けなんの事かとそちらの方を見る  しかし背を向けて何かのダンボールを開けた涼太郎しか見えなくて俺は椅子からへと立つ寸前、こいつに見られたくない物があっただろうかと記憶を巡らせ足を止めた  ───あった。だが何個ものダンボールがある中で、それを1つ開けるなんて偶然のような奇跡があるわけが無い。そう思いながら俺の足は早々に駆け寄り、引っ張るように涼太郎の肩を掴み中を覗いた 「……やっぱり」  そう呟いた言葉が涼太郎の耳に届いたのか、目が合い俺が逸らすと同時に何故か肩を掴まれた 「福澤……今まで彼女作らなかったの、やっぱりそういう意味だった…ってこと?」 「えっ、いや!待て待て!!変な勘違いをするな!!」 「じゃあなんで……」  こんなに青ざめる涼太郎の顔は、俺が同人BLを描いていたことを公言した時以来だ。多分、こんなに涼太郎の顔を真っ青にする奴は俺以外居ないだろうなと一周まわって誇らしげになってきた 「なんでこんな……アダルトグッズ……」 「おい!引くな!起動させたことはあるが、流石に使ったことはねぇよ!!」  と言うかだ、男同士のまぐわいを絵に描いているんだから察しろよ言うも「最初見たらお前の趣味だと思うだろ、誰だって」と言われ。もう一度大声で否定しようと思ったが、それを堪えてベッドへと俺は大きく腰を下ろした  その行動を横目に見ながらも、ずっと大人の玩具というものをまじまじと見ている涼太郎を見る 「……ま、漫画の資料がてら面白半分で買ったんだよ。実物参考の方が大きさもわかるし、そりゃ男が1人で使えるのもあると思うけど」 「あるのか?使ったことが?」 「つっ……!誰が使うか、手で十分だよ!」  同人誌を描くという隠しごとはしないが、俺が1人で自慰をすることをいちいち晒すのも馬鹿らしいが今言い方を少しでも間違えればド変態クソ野郎とあだ名がついてもおかしくない状況だ  しかしながらこんなことを言うのは初めてで、ファーストキスを奪われたのかと言うくらいに顔が熱くなる 「……でもこれでお前は話とか、書いているんだろう?」 「え、まっ……まぁ、そうなるけど」  くそ真面目君の涼太郎は箱から1つ手に取り、じっくりと見るなり俺の方を見てくる。なんだよその視線は!と言いたくなるも、涼太郎の言葉に思考が停止する 「使ってないのに、話では書けるのはおかしくないか?使ったのならまだ分かるが……福澤使ってみたらどうだ?」  先程までと会話が矛盾していないか?と口に出す前に思い出す、別に涼太郎は、『そんなものを使うな』とは一言も口にしてない。しかし幼馴染みである俺に人生で一度使うかも分からない、そんな代物を試しにすればと言うこの男の意図が全く読めない こいつは俺をド変態クソ野郎にでもしたいのかと、首を傾げてみるがそういう奴じゃないことは俺が一番分かっているだろうともう一人の自分が囁いた
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