見えた境界線

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 強い力で身を抱かれる、物理として……だけど痛くなくてなんなら丁度いいくらいに 「……涼太郎の言う、すきはその……どの」 「今このタイミングで他の意味として捉えるんなら、このままベッドから突き落とすぞ」 「突き……!?なっ、人の布団に勝手に入ってきた口が言うな!」  至近距離にある顔が無防備すぎて鼻をつまんでやるも見てくる表情は相変わらず、飽きもせず俺に告白なんかをしてきた男だ  改めて今……告白をされたのだと認識をした。そう思えば思うほど段々と顔の熱が上がるのを感じて、顔を隠したくても手は回しているわで顔をしかめっ面する 「……なんだよ、その顔」 「て……照れてんのを隠そうとしてんだよ!」 「口に出したら隠すも何も無いんじゃないか?」 「う、うっせぇよ!幼馴染み相手にときめく訳ねぇだろあーほ!」  しわくちゃ顔に笑ってんのか、俺のバレバレの発言になのかわかんないけど声を出して笑う涼太郎に自分に自分で呆れる 「……てか、本当にどこがいいんだよ俺なんかの。ぐうたらのしかも男同士のえっちな漫画を描く男なんて」  呆れたついでに照れて熱くなった顔はやっとこさ冷め、冷静に己のことを口に出していうも言ってて悲しくなってくる  本当によく良く考えれば、これ女にさえ好きになってもらえる要素ひとつも無いじゃんと心底ゾッとする 「確かに……お前のいい所はそのマヌケやだらしない所で帳消しされてるな」  さっきまで笑っていた涼太郎がいきなりすました顔で俺に対して石をぶつけてくるような言いをされ、口が勝手に開く 「お、お前……こういう時くらい俺に悪い所があったとしてもいい所でフォローして褒めろよ」 「……お前のいい所?お調子者とか、か?」 「涼太郎!お前、本当は俺の事好きじゃないだろ!!」  冗談かも表情のせいで本当なのか嘘なのか分かんないし、今まで言われたことの無いことを言われ内心グサグサと鋭利な物で刺されて声を出して胸を叩いた  厚い胸板に手を出したまましていれば、手首を掴まれるなり引き寄せられて甲にキスをされる 「悪い、冗談だよ……お前のムキになる所が可愛くてちょっと…いじめたな」 「ちょっとじゃない、殺人事件レベルだ!そんなチューで許してやるか!!」  本気で言ってないにしろ、ムッとした表情をして強く睨めば首を傾げられて「何をしたら許してくれるんだ」と言われて口をすぼめる  何を……?そもそも許す許さないの話だったのか、言っておきながらも分からんが一瞬頭の中で何かがチラつき涼太郎を見るや否……それが何がなのかひらめき自然と口角が上がった
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