見えた境界線

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「じ、じゃあ!じゃあさ……りょたが今まで付き合った子達と俺どっちが可愛いよ!!」 「どういう話だ、いきなり」  どうにか自分の流れに持っていこうとしたのはいいが、言っておきながらも俺は何を言っているのだと自分で自分に混乱する  心打ちのクエスチョンマークを出さぬように動揺を隠しじっと見つめた顔は、考えるフリでもなくいつもの真剣に言うことを選んでいる顔だった 「……今まで付き合ってた子は、子で普通に可愛かったよ。でもお前に対しては……なんだろうな犬?」 「い、いぬだ?」 「しっくりくる愛しさもあるし、生意気なところも……目を離せないところもだ。祥春は犬だったか」  そうかそうかと頷きながらも、再び頭をぐしゃりぐしゃりと撫で掻き回されて意思が停止する  この男……本当に俺のこと好きって言ってる?真面目に言うと思えば、馬鹿みたいにアホくせぇこと言ってくるわでちょっと心を乱されたことに何故か腹が立ってくる 「涼太郎は……その犬に性的欲求するタイプの性癖さんでした…け?」 「どんな性癖だよ……さっきのは冗談に決まってんだろ、ばか」  完全に「お前何言ってんだよ」って顔にさっき腹が立ったぶんに重ね、一瞬キレそうになるのを堪えて撫でてきた手を掴み見つめる 「……つ、つまりさ涼太郎は……その俺と付き合うとかそんな発想して、たりする?」 「……そうだとしたら?」  掴んだ手を振りほどこうともせず掴まれたまま、ほぼオウム返しみたいな答えにさっき考えていたことを思い出す  生唾を呑み込んで、俺の理想像まんまの男の顔見つめ。首を傾げるその表情に軽く鼻へとキスをして顔の距離を取って指先を涼太郎の唇へと当てる 「……だったら、一つだけ付き合う条件……お願いがあるんだ」
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