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修学旅行と秘密事
俺達は、異母兄弟だ。
そんな、実は義兄弟で
仲良しな俺達は
学校では秘密にしていた。
一部の人間を除いて……
だけど、この修学旅行で
三校にバレることになった。
『耿兄さん、章兄さん
修学旅行先が二人と
重なったんだけど
向こうで会ったらどうする?』
と言っても、他人事。
「章夫さ~ん」
壬梛蒔高校の団体の中に
章兄さんを見つけた途端
惣次は走り出した。
「ぉっ、惣次」
なんなく、惣次を
抱き止めた章兄さん。
そんな二人を周囲は
唖然とした顔で見ている。
それもそのはず。
だって、学年も学校も
違う二人が仲良さそうに
していたら、吃驚するだろう。
『おい、惣次』
無駄だとわかっているが
声を掛けないわけにはいかない。
案の定、返事は返ってこない。
はぁ~
章兄さんも惣次を
甘やかし過ぎだっつーの‼
此処は家じゃねぇんだよ……
わかってんのか?
章兄さんは、
普段しっかり者だが
惣次の事となると
途端に甘々になる。
一人でため息を
吐いていると同じクラスの
小波政紀が隣に座った。
「満、大丈夫か?」
修学旅行の班で
政紀は俺達の班の班長だ。
『あぁ、大丈夫だ』
呆れながら章兄さんと惣次を
眺めながら、もう一度ため息を吐いた。
「諦めろ」
後ろから声をかけられて
振り向くと耿兄さんと拓弥さんがいた。
言いたいことはわかるけど……
「お久し振りです」
政紀が二人に挨拶した。
辛島高校 は不良高校と言われ
普通の人なら制服を見て逃げ出す。
案の定、政紀と俺、そして
政紀の恋人千晴以外は
一歩下がって俺たちを見ている。
『拓弥さん、会いたかったです』
流石に惣次みたいに
抱きついたりはしないけど……
「俺も会いたかった」
わしゃわしゃと俺の頭を撫でた。
拓弥さんの隣では耿兄さんが
ニヤニヤと笑っている。
成る程、少しだけ
惣次の気持ちがわかったけど
あれはイチャイチャし過ぎだ。
まったく……
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