パート1

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 そうして胸に一物ある妻の協力を得てタイムマシンが完成した晩(2050年12月22日)、H博士は大いに破目を外すことになり、ガールズバーやキャバクラを梯子して泥酔して自宅に帰って来るや、「美鈴!水!水くれ!」と頼んだ。  すると、美鈴はH博士に睡眠薬入りの水をやり、爆睡状態になったH博士を台車で運んで自分の車に乗せ、タイムマシンがある研究所へマイカーを走らせた。  研究所に着くと、美鈴はH博士を再び台車で運び、研究所に入り、秘密の扉を開けてエレベーターに乗り、タイムマシンのある地下室に降りた。  それから美鈴はH博士をタイムマシンの転送台に乗せ、タイムマシンを始動し、モードダイヤルを転送モードに切り替え、転送対象者ロックボタンを押してH博士をカプセルの中に閉じ込め、転送ビームで捉え、位相変換コイルの働きによってエネルギー態に近い量子にまで分解した。  その結果、転送パターン化したH博士は、パターンバッファに蓄えられた後、研究所の外壁に設置してある転送ビームエミッタから美鈴が設定した過去の地まで放射された。  量子レベルのミクロの世界ではエネルギー波と粒子は同質の存在だから転送パターンは転送ビームに乗って設定地まで運ばれて再物質化する。  従ってH博士は美鈴が設定した過去の地で物質化して再生する筈だったが、転送トラブルが起きたので全く違う場所で再生した。    
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