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注意
次の部位には使用しないで下さい。
目の周囲、及び粘膜(例、唇等)
この手の塗り薬は虫刺されの痒みを吸熱反応や冷却作用のある薬品で抑えるものであり、この二つを引き起こす薬品は刺激臭を放つ。それ故に粘膜部分は勿論、傷口に塗布することは厳禁である。
「危うく赤毛のアンみたいになるところだった」
青年は肝を冷やしながらそっと薬箱に虫刺されの薬を戻した。
そうしている間にも蚊は嘲笑うかのように青年の耳元を飛び回る。
ぷ~ん
なんと不快な音だろうか。人間が蚊の羽音を不快に思う理由はいくつかある。
人間の可聴周波数帯域は20ヘルツ~20000ヘルツとされている。その中で人間が一番良く聞こえる範囲の350ヘルツ~600ヘルツこそが蚊の羽音と同じなのである。
この範囲の音域は人間の耳に突き刺さるような音で、強弱に関係無く神経を刺激するような効果があるために、人間が最も不快に感じる音であるとされている。
パァン!
青年は自分の耳元を叩いた。それこそ、鼓膜が破れるのではないかと言う勢いで思い切り叩いた。青年は耳を痛めただけであった。蚊は先程と同じく嘲笑うかのように不快な羽音を立てていた羽根を休めるために壁に張り付いた。
青年はそれを見て口端をニヤリと上げる。
ここが年貢の納め時だ! 往生しろや! 青年は耳を叩きまだじんじんと痛む手を思い切り蚊の止まった壁に叩きつけた。
バンっ!
近所迷惑になりそうなぐらいに大きな壁を叩く音が響き渡る。青年は蚊を仕留めたのだろうか。おもむろに壁から手を離すも、何かが張り付いた感覚はない。外したことは間違いない。そして、それを証明するように蚊は青年の耳元を嘲笑うかのように飛ぶのであった。
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