転校生

11/12
前へ
/30ページ
次へ
1枚目には風術士と描かれている。どうやら風を使う能力のようだ。 そして、肝心の2枚目には数字は書いておらず、死神が描かれていた。 「ジョーカー・・」 俺は一瞬言葉を失った。先ほどの女神の説明からするとジョーカーの生存確率は0。つまり死ぬことが確定している。 死ぬのか。木下さんが死ぬ。 脳内で木下さんの死を意識すると恐怖や絶望が込み上げてくる。それと同時に己の心が高揚してくる感じもした。その気持ちがなんなのかはわからないが、俺は名案を閃く。 「このカードは俺が持つよ。」 「えっ?けどそれだと・・」 いつの間にか涙を流していた木下の頭を撫でる。 「大丈夫だ。俺死なないから。女神はさっきジョーカーを引いた過去の生存率は0って言ってただろ?何事にもはじめてってのはあるもんだ。俺は死なない。俺を信じてくれ。」 木下さんに笑顔で声をかけるも涙をずっと拭って何を言ってるのかわからない。 「ホントにいいの?ハッキリ言って自殺するような者よ。」 「なんだ?成宮、心配してくれるのか?。大丈夫だ。ジョーカーを得たことで俺の心は踊ってるよ。」 「意味わかんない。まあけどあなたには期待してるんだから死なないでよね。」 意味わかんないか。俺もなんでこんなに心が踊ってるのかわかんねぇ。普通に考えたら死ぬかもしれないってのに。ホント意味わかんないな。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加