それからの日々

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・・確かあれは1965年だったか、わしが老衰で死んだのは。 老人は赤い蓮の花がたくさん咲いている池を、 のんびりと眺めながら、 熱い茶の入った湯飲みを思い浮かべ、手の中に出現させた。 ずずっ ・・あれから何年くらいたったことになるのかのう、下界(した)では。 60~70年くらいたったかのう。 今度は小ぶりな饅頭を思い浮かべ、右手につまむかたちで出てきたそれを、 ぱくりと頬張って、茶を一口。 ずずっ ・・・ほう。 平和じゃのう。 天国じゃから当たり前じゃのう。
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