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少女の首を吊り上げていたロープが、ぷつりと切れた。
少女は畳の上に倒れ伏す。激しくせき込み、心臓と肺が動いているのを自覚した。
窓からは朝日が差し込んでいる。首を吊る寸前に見たのと同じ朝日だ。あれから数分も経っていないようだった。
時間の流れは、どうなったものなのか。
あれは、夢だったのか。それとも?
だがどちらにせよ、あの気のいい幼馴染はもうこの世にいない。彼女だけが戻って来た。散々迷って、かろうじて――それでも、最後は自分の意志で。彼の願いのままに。
けれど。
これから、また生きていかなければならないのか。こんな思いを抱えながら。
「ぐ、うあ……ああ」
みことの嗚咽が、すぐに泣き叫ぶ声に変わる。
「うわあああ……ああああ……!」
だがその背を優しく撫でる恋人は、死んでしまったので、もういない。
終
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