ゴーストタクシードライバー

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 三人の派遣社員、正雄と翔太と孝志は深更まで梯子して飲んだ後、終電でA駅に着いて下車してから社宅へ徒歩で向かう中、土砂降りの俄か雨に見舞われた。  まだ社宅まで3キロくらいある。  寝静まった民家が左右に疎らに建ち、ぽつんぽつんとある街灯しか照らす物がない道を濡れ鼠になって歩きながらこれじゃあ風邪をひきかねないよと三人は話していると、雨で靄った中、遠方から放たれた車のヘッドライトに突然照らされた。  その車はまるで猛り狂う嵐のような轟音を立てながら三人に向かって突進して来て三人の前に急ブレーキで停まるや、リアドアが開いた。  それは紛れもなくタクシーだった。  三人は何でこんな所にこんなタイミングよくタクシーが来たんだろうと不思議に思いながらも有難がって後部座席に乗り込んだ。
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