11人が本棚に入れています
本棚に追加
病院の先生の話によると、母の体には片麻痺――半身だけの麻痺――が残る可能性があるらしい。とすると、介護が必要になるだろう。
介護。憂鬱だった。友人や近所の家庭を横目で見ても、経済的、肉体的、そしてもちろん精神的に、かなりの負担を強いられるようだ。
何十年かの介護の末、生活が立ち行かなくなり、そのまま無理心中する、などという事件も耳にする。
ごく普通の家庭の人達が家族を殺すまで追い詰められてしまうのだ。自分はそれに耐えられるだろうか。
しかも介護は相手が亡くなるまで続く。つまり、いつしか、相手が亡くなることを心待ちにしてしまうようになるのではないか。
そこが最も残酷なことかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!