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今、私のお腹には二人目の子が宿っている。母の介護をすることになったら、とても二人目を育てる余裕はないだろう。
中絶、することになるかもしれない。もしそうなれば、年齢的に次の機会はない。
自分の人生が抗いようのない何かに覆われ、薄暗く閉ざされていくようだった。ちょうど母の脳の表面が真っ赤な血の膜で覆われたように。
リモコンで居間のテレビを点けた。鼻で笑う気にもなれないワイドショー。消した。しばらくしてまたテレビを点け、すぐに消す。
テーブルの上で、いつの間にか携帯がバイブ音を鳴らしていた。夫からだ。音に全く気付かなかったことに驚きながら、慌てて出る。
「あの、……亡くなったよ」
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