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中学に上がると私はイジメにあうようになった。
デブで醜い私はかっこうの的だった。
体重はすでに八十キロになっていた。
あだ名は顔面凶器。
それでも私は決して私をいじめる相手に屈しなかった。
憮然とした態度で彼ら、彼女らを無視し続けた。
そんな私の態度はますます相手を刺激することになり、私は学校では完全に孤立していた。
四つ歳上の薫兄とは同じ中学に通うことはなかった。
もし薫兄がいたら、全力で私を守ってくれただろうし、それ以前に薫兄の義理ではあるが妹の私がイジメにあうことはまずなかっただろう。
不幸なことに同じ中学にいたのは銀太郎だった。
私は何度も銀太郎がクラスメイトの使いっ走りをさせられているところを見たことがある。
学校の帰り道は皆の荷物持ちもさせられていた。
銀太郎はいつでもあの人に媚を売ったような卑屈な笑いを浮かべていた。
もし私も銀太郎と同じようであれば、私は学校で孤立するようなことはなかったかも知れない。
でもそれだけは絶対に嫌だった。
生まれた時から敗者の私だとしても、心までは誰にも屈したくなかった。
銀太郎みたいになるくらいだったら死んだほうがマシだ。
義理ではあっても銀太郎と兄妹であることを皆に知られるのが嫌だった。
薫兄が私の誇りであるならば、銀太郎は私の恥だった。
銀太郎なんかいなくなってしまえばいいのに、何度そう思ったことか。
あの日、継母の買い物について街に出たのが父ではなく銀太郎だったらよかったのに。
そうしたら継母と一緒に銀太郎も自動車事故で死んでくれたのに。
人生はうまくいかない。
神さま、少しくらい私の人生にもいいことがあっていいんじゃないでしょうか?
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