2人が本棚に入れています
本棚に追加
ダメ人間の成長日記 パート10
トモカは公園のすべり台の下で雨宿りをしていた。地面は濡れていて衣服も濡れていた。
「トモカ!」
ヒビキがそう叫ぶとトモカはビクッと震えながらコチラを見た。
嗚呼、もう私は恐怖の対象になってしまったのか、とヒビキは思った。
ヒビキは雨に濡れながらトモカに近づいて雨降る中、頭を下げて謝罪した。
「トモカ、本当にごめん。私が勝手だった。自分の最低な生活を守るために、守る必要がないものを守ろうとした。自堕落な生活を。私は変わらないといけないと思ってはいた。でも、中々気持ちが整理できずにズルズルとトモカに甘えていた。だからさ、トモカの行動は当たり前だけど正しいんだよ!全ては私の間違い。自堕落でだらしない私なんだよ。」
そう言って一区切り。
「だから……コレからはちゃんとするからまたお味噌汁作ってくれないかな?」
ヒビキがそう言うとトモカはボーッと雨の中ヒビキを見て、笑顔で頷いた。
こうして雨の中、手をつないで帰った私達のルームシェアは再開され、私も積極的にトモカに手伝い、日々を過ごした。
気がついたら私はもうダメ人間の生活はしていなかった。普通に健康な生活をしていた。
私は密かにスマホで書いていた『ダメ人間の成長日記』というタイトルのメモ帳を消した。
私はやっと成長できたのだから。必要はなかった。卒業だ。親と友と自分の力で。
快晴の朝、トモカと笑いながら飲むお味噌汁は美味しかった。
この味は私は一生忘れないだろう。
そう、一生。
最初のコメントを投稿しよう!