新たな力?

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新たな力?

「し、シアン!なんでそんな格好してんだ⁉︎」 「ふえ~?」 仕事が休みなので久しぶりにビールを飲もうと買っていたのだが、あろうことかシアンがビールの缶を一つ分飲み干していた。 どうやらシアンでも持てるくらいの大きさをした、[おちょこ]で飲んでいたらしい。 おまけに、半裸状態なので目のやり場にとても困るんだよなぁ…… 「お、俺が飲もうと買っておいたビールを飲んじまってるのかよ?それもこんなに酔いつぶれちまって」 「なによ~たまには良いでしょ~?こんなにおいしい飲み物なんて初めて飲んだんだから~!えへへへ…」 うわ〜…かなり出来上がってるな。 「はぁ…とりあえず服はちゃんと着てくれ?じゃねぇと俺もまともに見られないだろうが。」 そんな乱れきった服の隙間から見えたらダメな恥ずかしい部分が見えそうで、こっちの理性を保つのに精一杯だ! 「えへへ~!何で照れてんのよ仁〜?こんな状態の私が、もしかして好み~?」 「バッ!…そうじゃなくてだな‼︎まあ見たくはあるがよ!そんな裸状態のお前を見て冷静でいられる訳ねぇだろうが⁉︎」 「何言ってんのよ~仁!私が裸になってあんたのことを誘うわけ無いで……しょ?」 シアンが今の状態を確認してから、およそ30秒くらい長く沈黙が続いた。 「‼︎⁉︎」 ようやく正常に戻ったらしいが、出来上がってのぼせていた体が今度は見たまんま真っ赤な色に変わっていき、そして…… 「ぴゃあ~~⁉︎えっ!何であたしこんな格好になってんの?仁!さっきまであたし何してたの!」 「…昨日の夜、俺がこの休日に飲もうと買っておいたそのビール缶1本そこにあるだろ?俺が目を離した隙にお前が飲み干したからそうなったんだろうが。」 「はへ⁉︎あ、あのこれはその…」 「飲んだことはこの際しゃーねーよ……だが、頼むから服はすぐ着てくれ。目のやり場に困って直視できねぇから」 俺は目をつむりながら、片手で俺のムスコがおっきしないように必死に押さえているといった、恥ずかしい格好になっていた。 「あわわわ!ご、ごめん!すぐ着替えるからそのまま後ろを向いてて…って、きゃあ!」 「どうした⁉︎」 ドスンと小さいが音がしたので、そのまま振り返ってしまったのがいけなかった。 「ひ、あ…ああ!」 何がどうしてそうなったのか、シアンの上着が変に絡まり両腕は持ち上がっている。  そこから小さい体でも分かる控えめな双丘がバッチリ見えていたのだ! 「な、なんかすまん…」 「い、いやああぁ‼︎⁉︎」 過去最大級の規模で纏まった雷を、俺は全身で受け止める結果になった。 「アババババババ⁉︎」 俺は雷撃の全てを受け止めた瞬間、その場にバタリと倒れこむ。 「…はっ!仁?仁ってば‼︎目を開けてよ!」 シアンは一生懸命呼びかけるも、この時の俺は意識が吹き飛んでいるのか体はぴくりとも動けない。 「どうしようどうしようどうしよう⁉︎み、みんなに聞いてみなきゃ!」 シアンは気を失っている俺から離れ一人家を飛び出し、犬吹家に助けを求めにいった。 みんなはシアンの格好に一番驚いていたが、かなり取り乱してると判断してすぐに自宅のアパートにきてくれたのである。 「おい禅内!大丈夫かしっかりしろ!」 「仁さん!」 「仁兄ちゃん‼︎」 「うう~…」 シアンは取り乱しながら、その場で泣き始めていた。 「シアン…一体何がどうしたと言うの?」 「仁様ならきっと大丈夫よ!だから良かったら話してみて?」 「う、うん」 シアンは自分のやらかしたことを思い出せる限り話しはじめた。 「なるほど。確かにそこはシアンちゃんの落ち度よね?でも良いことを聞いたかも!仁さんをその気にさせる方法もつかめた訳だし…って、いったぁ~!」 「バカ娘!未成年で酒なんか飲むもんじゃねぇよ。それともお前は男を夜這いする趣味があったのか?」 「よよ、夜這いってそんなお父さん‼︎そりゃまあ、私も仁さんになら触わられたって良いんだけど……ゴニョゴニョ」 「お姉ちゃんエッチだ」 「今の言葉、禅内に聞かせたらどんな反応するかな?」 「ひゃ〜⁉︎そ、それだけはやめてお父さん〜!」 「…ゴホッ!ゴホッ!」 「仁‼︎」 「ああ~、一瞬死んだかと思ったぜ……ん?何でみんなここにいるんだ?」 「仁!仁~~‼︎」 「うおっと!シアン?」 「仁さん、シアンちゃんが私たちに助けを求めて来たんですよ?それも服が何故かはだけたまんまで!」 「あう!」 「すごい取り乱してたもんねぇ。それだけ仁兄ちゃんの事、本当に好きなんだと思うよ?シアンちゃんは」 「!」 「シアンは、俺の事が好き…なのか?」 俺がそのままシアン本人に面と向かって聞いてみる。 「わ、わた、私は…その」 「素直に言って良いのよ?シアン」 「い、言えない……今は言いたくない‼︎」 急にシアンは、勢いよくこの家を飛び出した! 一同「⁉︎」 「おい、シアン!」 俺の呼ぶ声にも応えることなく、まっすぐ出ていってしまった。 「…なんだってんだクソッ!」 「私たちも正直分からないよ仁様。でもシアンって前からあんな感じだったの?」 「いや、最初は俺と同じように憎まれ口しか叩いてこなかったんだが、俺が信じる相手なんかいらないって気持ちの時となんとなく似ているような気もする。」 「仁兄ちゃんも何かあったの?」 「俺は…」 俺は、シアンにも伝えた俺の生い立ちとそのとき抱いた感情を、みんなにも包み隠さず話した。 全員「……」 「シアンは、俺の言った話を聞いて泣いてくれたんだ……それが俺にとってはどれ程救われたかうまく言えねぇ。 だから、今度はせめて俺が助けになればと思ってたんだがこのザマじゃあな。」 「兄貴のやつ、そんなこと一言も言おうともしなかったぞクソ!何最低な事してんだ‼︎」 「最低な事…か、ありがとよおっさん。そう思ってくれるんだな」 「当たり前だ禅内!ついでに俺も言っとくが、俺と兄貴……つまりお前の父親とは異母兄弟だ。だからたいして血の繋がりとかはねぇんだよ!」 「なるほど道理で!名字も違うし価値観も違いすぎてたからなんか変だと思ってたぜ。」 それにどう考えても、兄弟には見えなかったしな。 「え、じゃあ仁さんは私にとって少し離れた親戚みたいなもの?」 「まあそうなるが、そこは特に気にしなくて良いと思うぞ?問題はシアンちゃんだ。禅内、どこか行き先に心当たりはないか?」 「いや何も……俺も初めてあいつを見たのはこの家だったし、その前にあいつは俺がマスター・ゼノンって名前のあのポリゴンじいさんと初めて会話した所にもいたらしいからな。」 「ポッ、ポリゴンじいさんって‼︎そんなこと言ったら仁様もさすがに雷落とされるよ?」 「…あー、今めっちゃお叱りの雷を落とされてるみたいだな?」 みんな「どこ?」 キョロキョロと彼らは周りを見るも、彼らの知る雷らしきものはどこにも現れていない。 「俺の足もと見てみ?」 「仁兄ちゃんの足、焦げてる?」 「お前、雷平気だったか?」 「いや、今日特大の雷をシアンにぶつけられて俺が倒れた話を聞いたんだろ?それのせいでかは知らんが、雷耐性がついたらしい。それに……ふっ!」 バチバチバチ‼︎ 全員「⁉︎」 「俺、雷攻撃も身に付いちまったみたいだ」 全員(モニター越しで見ているマスター・ゼノンも含めて)が俺の言葉を聞いて、しばらく思考停止状態に陥ってしまったのは言うまでもなかった。
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