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女の子の正体…
俺は店長から休みをもらって、治療に専念しつつ食事をとっていた。
「いててて!あーくいづれぇ…」
「慣れない喧嘩なんかするからでしょ。」
「んなこといってもよぉ、自然と出ちまったんだからしょーがないだろ?」
「まあ、良かったんじゃない?初めて他人に良いことできたんだし。もしかしたらまたレベル上がってるのかもよ?」
「まさかそんな……あれ?」
なんだかんだ言いながらも、自然とステータス表記に手をかける俺。
そこに見えたのは最初とは見覚えがない文字だった。
ポチッ…ヴォン!
ステータス表示
禅内 仁(25歳) レベル10
体力(HP)320(↑) スタミナ250(↑)
攻撃力150(↑) 精神力(MP)100(↑)
防御(忍耐)力170(↑) 器用さ270
賢さ(↑)1100 魅力150(↑)
:スキル
責任転嫁→責任感(↑)
嘘八百→誠実(↑)
状態異常耐性+
ステータス閲覧
詐欺トーク→商売話術(↑)
ゲームプレイスキル
不屈の意志
悪口→愚痴(↑)
格闘センスNew
説得術New
:称号
鉄のメンタル(↑) 強い責任感(↑)
熱心な若者(↑) 立派人間(↑)
商人の卵(↑) 舎弟持ちNew
初級格闘者New 対話術師New
閲覧者 異常耐性所持者
「あれ?なによこれ!仁は格闘家にでもなったの?」
「いやいやそんな訳がねぇって。あいつに最初仕掛けたのは、アニメや動画で誰もが知ってる足払いだけだし…」
「多分、知識だけの分と実際に行動するのとでは別物なのかもね。良かったじゃん!こういうこともできるんだって分かってさ。」
「そうだな。最初はステータスを見れる世界に変えたのは不味かったかと肝を冷やしたが、こうやって眺めると少しだけ実感してきたぜ。」
ピンポーン!
「誰が来たんだ?」
俺とシアンは共に、玄関前に足を運んでいった。扉を開けてみるとそこにいたのは……
「よぉ禅内!ちったぁケガは直ったか?」
「おっさん⁉︎なんだってまた俺んちなんかに?」
「なんだ、俺が見舞いに来ちゃダメだってのか?」
「いやいやんなこと無いっての…来てくれるのは嬉しいけれど見ての通りだ。ほとんど治ってる」
俺は怪我したところを見せたらおっさんもやや驚きの顔をしていた様子だったが、そんなおっさんの後ろから一人の女の子が顔を出してきた。
「「…あー!」」
俺とシアンは、同時に驚き声を上げた。
「あっ!あのときのお兄さん⁉︎」
「ん?なんだ、お前ら知り合いだったのか。」
「えっと…お父さん!実はこの人がね、チンピラみたいな男から私を助けてくれた人なの!」
「なにぃー!禅内お前がか⁉︎……嘘だろ」
「もぉ~嘘じゃないよぉ。その人とそのガイダーさんが逃がしてくれたんだから!」
「禅内、うちの娘を助けてくれて本当にありがとうよ!……だが娘はやらんぞ?」
「いきなり何言ってんだよおっさん⁉︎」
「わ、私は別にあんたが誰と付き合おうがどうでも良いけど、さ…」
「いや、シアンも急に何言い出すんだよ!」
「あの!私で良ければ、その…これからも仲良くしてください‼︎」
「ちょっと待て!急な展開続きで俺の方がついていけてないんだが⁉︎」
「ダメ…ですか?」
「い、いやダメとは言ってねぇけど…」
「俺は認めんぞ‼︎」
「仁?私を無視したら承知しないからね!」
「だからどうすりゃいいんだよ~~!」
このおかしな押し問答が、しばらくの間続いていく…
誰かとまともに対話した事がなかったこの俺…禅内仁はどうすれば切り抜ける事ができるのかわからないまま、彼らを落ち着かせるよう努めるのであった。
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