ヒーロー登場!

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✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡ 「ちょっと、タイミング悪すぎだよね!」 「ああ、あれでしょ? 正義のヒーロー? 今さらだよね~!」 「ほんっとに、最悪のタイミングだよ! 空気読んで欲しいよね~」 「そうだよ! やっと、普通に暮らせるようになって来たのに……台無しだわ!」 ここは、平日の昼食時の原宿。 そして、この会話は 行き交う若者たちの会話のごく一部だ。 本来なら、正義のヒーローの登場を 誰もが喜ぶところなのかも知れないが… 余りにもタイミングの悪すぎる登場に 誰もが正義のヒーローを 『空気の読めないヒーロー』と呼んでいた。 ✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡ そんなことを、何もわかっていない 正義のヒーローの、中心人物であろう 『レッド』と、その仲間の 『ブルー』と『イエロー』は、真っ昼間の 渋谷のハチ公前で、この『東京』を取り戻すために… 怪人たちと、激しい戦闘を繰り広げていた。 「今さら、正義の味方気取りで現れやがって!! この『東京』は、我々【悪の秘密結社S】の支配下にあるのが、見てわからないのか? きっと、人間たちもお前たちなんぞに何も期待しておらぬわ!ワハハハ」 「うるせえ! 黙れ! このブタニワトリ野郎!! これでも喰らいやがれ!」 遅すぎるヒーローの登場を 頭はブタで、体がニワトリの怪人が 全身真っ黒な姿をして「イー!! イー!!」と 掛け声をあげている大勢の手下をバックに ブヒブヒと嘲笑うと、リーダーである 『レッド』が、大声で怒鳴りながら 手にしているレーザーガンを、怪人たちに向けて 連射してハチ公の銅像を粉々に破壊していた。 ✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡ 激しい死闘の末、 ブタニワトリ怪人に 『レッド』と『ブルー』が とどめの一発を、ぶちかまそうとした その時だった。 「暴力反対!! 消えろ!」 「やめて!! 怪人がかわいそう~!」 「そうだ!! ヒーローなんてオレたちに必要ねえぞ!」 「「「帰れ! 帰れ! 帰れ!」」」 ヒーローたちと怪人の戦闘を 遠くから見ていた人々が、口々に ヒーローたちを罵り、怪人を助けようと 石やペットボトルや空き缶を手に持って ヒーロー目掛けて投げつけていた。 「ブヒブヒブヒ~! ワハハハ! だから、言っているだろう? もうこの『東京』には、お前たちヒーローは必要とされていないのだ!」 「嘘だ!? そんなはずは、無い!」 「そうだ!! お前ら【悪の秘密結社S】が人々を洗脳してしまったに違いない!」 「今日のところは、見逃しておいてやるが、必ずオレたちが人々の洗脳を解いてこの『東京』を取り戻す!! 今に見ていろ!」 こうして… 正義のヒーローたちは、自分たちが 「空気を読めないヒーロー」と 呼ばれていることなど露知れず… 【悪の秘密結社S】が人々を 洗脳してしまったのだと、勝手に思い込んで 今後も怪人たちと、死闘を繰り広げる気満々で去って行った。
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