1人が本棚に入れています
本棚に追加
インコは味方?
肩を落とし膝をついて雑巾をかける。いい匂いがして、まるで床の上で美味しいミルクセーキを作っているようだ。この斬新な調理法で作られたストロベリーミルクセーキは、誰かの口ではなく、ゴミ箱に吸い込まれていった。
(今日1日、私は何をしていたのだろう。)
お姑さんは笑顔で帰っていった。何も進展のない、でも盛りだくさんのゆかりの1日が終りつつあった。
ふと、インコの今日の世話がまだだったことを思い出す。1日一回は放鳥して給餌とお世話をしないと、インコだって不満が爆発する。いや、彼らにとっては人の世話は命に関わる問題だ。かわいいインコは私の癒し。
ゆかりは漸く気を取り直して、今日初めて自分のためにお茶を淹れた。そうよ、リラックスタイムが必要よ。
「ギャー、痛い!」
ゆかりは自分でもびっくりするような悲鳴をあげた。ソファーで遊んでいたインコに気づかず腰を下ろそうとしたので、焦ったインコが噛み付いたのだ。
インコはそのまま飛んで逃げると、定位置の戸棚の上を陣取った。上からじっとこちらを見下ろしてくる。
指についた白い噛み跡から、じわりと血が滲み出てきた。
ゆかりは噛まれた指を押さえながら、インコをきっと睨み返した。
「私が悪いの?私が」
そして、私は思わず叫んでいた。
「そうよ、私が悪い。どれもこれも全部、私が悪いのよ!」
最初のコメントを投稿しよう!