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「冬馬ーーー!起きてーー?もう9時だよ?」
ガチャっと寝室のドアが開いて、部屋が明るくなった。
亜希がカーテン開けたな…。
「ん〜…。分かった…。」
むくっと起き上がって部屋を見渡すと、亜希はもう部屋を出ていた。
テーブルには朝食が用意してあって、コーヒーのいい匂いがした。
「早く食べて!」
「…はいはい。そんなに急がなくても、逃げないだろ?」
亜希はベランダで洗濯物を干してる。
時々、こっちを見て朝食の進み具合を見てくる。
「今日も美味いよ?いつもありがとう。」
亜希は笑って、
「早く食べて!」と言ってきた。
外の緑が濃くなって、日差しが強い。
「今日暑いね〜!」
「そーだなぁ…どっかで、休むか?」
「まだ平気!」
俺と手を繋いだ亜希は、笑顔で答えた。
亜希が帰ってきて、1日過ぎるのが早かった。
慌ただしく、過ごしただけかもしれない。
帰ってきたらやりたいと考えていた事を全部やったからーーー。
しばらく何も予定立てずに過ごしていた日々から、亜希のマネージャー昇格でまた一気に忙しくなった。
ーーーまぁ、それは亜希だけで。
俺の隣に居る亜希の笑顔は、初めて亜希を見た日と変わらない。
亜希に声も掛けられなかった昔の自分に言いたい。
10年後は、隣に立てるから。
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