第1話 偽りのシャングリラ

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第1話 偽りのシャングリラ

私の脳内は今絶望に支配されている… 目の前にいるこの女に私は全てを否定された。 この世界に何が残っているのか私にはもう分からなかった…憎悪と悲しみと嫌悪と苦しみ。 一筋の光明すら私には見いだせなかった… 今の私にあるのは… 「…ナニガ、シンジルモノワ、スクワレルよ…」 目の前にいる憐れむような視線のこの女を バラばらにして殺してしまいたい… その思いだけだった… ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 学校の帰り道、雪が降りそそぎ、 肌寒さを我慢しながら、ありふれた黒髪をなびかせて私はお気に入りの私服姿で帰宅中だ。 「玲奈はやっぱり学校卒業したら実家の跡を継ぐんでしょ?」 当たり前だと言わんばかりに 友達の彩が私に問いかけてくる。 卒業した後の事は不安に駆られ考えたくもなかった ので正直考えていなかったのが現実だ。 「その気はないんだけど母さんがうるさくてさ。」 面倒くさそうに彩の問いに答えた。 母から巫女の仕事を引き継ぐように耳に胼胝ができるほど言われているので、観念してもうそれでいいやという気持ちもある。 「彩は『神力』持ちだから羨ましいよ」 「その【人を癒す】神力で医師になるんでしょ?」 跡継ぎの件は、 まぁまだ私には関係のない話しだと そう思いながら微笑みかけるように、 彩に質問した。 「私ね、神力を授かった時嬉しかったんだ…こんな私でも出来る事があるんだって思って。」 どこか儚げな表情で寒空を見上げながら 彩は答えた。 そして、 別れ道まで彩と会話しながら歩くと、 「じゃ玲奈また明日ね!」 いつものように彩が手を振りながら 金髪の長髪をなびかせて自宅の方に帰っていった。
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