きもだめし。

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 ***  そして、本番の土曜日。  僕はよりにもよってその朝高熱を出し、肝試しに参加できない状態に陥ってしまうことになる。結局本番の肝試しは、コータに全部任せてしまうしかなくなってしまったのだ。  なんとか月曜日には回復した僕。申し訳ないと思いつつ、肝試し当日の様子をコータに聞いた僕は目を剥くこととなる。 「カツラかぶって、墓石の影から飛び出していってさ。びっくりさせて追いかけるってことしたんだよ。そしたら、想像以上にテツジ君がびっくりしてすっころんでさ。全力で逃げるから、僕も全力で逃げて小屋の方まで追い詰めてさ」  特に、テツジに大した怪我はなかったらしい。しかし彼は、その日の肝試しがトラウマになってしまい――今日は学校を休んでしまっていた。  携帯には、今朝。彼からのメールが届いている。 「で、予定通り鍵かけて数分だけ閉じ込めたんだけど。……そしたら、テツジ君が本気でパニックになって……中から凄い音がして。僕、慌てて鍵開けようとしたんだけど何故か開かなくて……」  結局、最終的には大人を呼んで強引に小屋のドアを開けてもらうにいたるのだが。それは、肝試しが始まってから一時間ほど過ぎてからのことであったのだという。  小屋の老朽化した床が抜け、彼は真っ暗な地下室らしき空間に閉じ込められていた。そこは虫だらけで、しかも奇妙なことに――閉じ込められているうちに、どんどん周囲の壁が迫ってきて潰されそうになるという現象が起きたのだという。  そんな仕掛け、可能なはずがないし――誰も作ってなどいないというのに。  実際彼を救出した時には、彼は潰されていることもなく、ただ真っ暗な地下室でガタガタと震えているだけだったというのに。 「なんか、僕も怖くなっちゃったよ……ミズキ君。あの時のテツジ君に、追いかけていった僕の姿……どんな風に見えてたのかな」 『ごめんなさい ごめんなさい  おれはきみよりこわがりです ごめんなさい  もう馬鹿にしたりしません』  一体あの日、僕が知らないところで何が起きてしまっていたというのだろうか。  真実は文字通り、神様だけが知っている。
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