2人が本棚に入れています
本棚に追加
はらり、ひらりと艶やかな花びらが舞う。
桜の花はきっと、ひとつの季節の終わりを告げて、新たな始まりを知らせる花なのだろう。
凍える冬の寒さに耐えた蕾だけが、綺麗に咲き誇る。乗り越えられなかったものは、蕾のまま朽ちていくのだろう。
それはまるで、人生のように。
不器用な別れをしたものに、次の春は来ないのだろう。
────閉じた瞼に、春の温もりを感じた。
それはただ朽ちていく蕾を、優しく包み込んでくれた。
最初のコメントを投稿しよう!