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1話 Twitterの小規模創作企画で一緒に参加してたフォロワーが同期にいた件について。
私が文芸部に仮入部をして数日。四月の半ば頃です。文芸部では五月に行われる大学イベントに向けて部誌の製作をしていました。
ここで、部誌の製作までの流れをご紹介します。
・まずは部員それぞれが作品を決められた日までに書いてきます。
・決まった日程から「批評会」がはじまり、3~5人で1人の作品を読み誤字や矛盾を探します。
・その後、編集係が一冊分に書式をまとめて印刷。
・表紙係が書いた絵を固めの紙に印刷して、手作業で製本作業。
・完成。
私が入部した段階では既に作品は集まり批評会の段階だったのです。しかも、一回目は終わり二回目、三回目の批評会。私達仮入部の生徒もそれに混ざって先輩方の作品を読み、色々言い合っていました。
今考えればいい制度です。入部したての勝手がわからない部員に、どんな作品を書いているのか。批評会はどうやるのか。どうやって部誌を作るのか。その現場で教えることができるのですから。
しかし、事件が起きます。私も参加していた批評会中に、怒号が響き渡ったのです。
「これ以上、直せって言っても直さないならさ。もう部誌に載せないからね!」
「……」
一つ上、二期生の女性の先輩(わがままでキレやすいためノブナガ先輩とここでは呼びます)。彼女が作品を持ってきた男の先輩(彼も二期生で作風的にキザ先輩と呼びます)に対して怒鳴りました。
キザ先輩はその名の通りどこか厨二チックなキザな作品を書く先輩であり、しかも文字数がかなり多い先輩でした。彼の作品の批評をやるときは皆、気合を入れて挑むようなそんな先輩です
大変な作品でありながら、一度批評したのに直さずに持ってきたこともあり、ノブナガ先輩がブチ切れたわけです。
私は冷えた空気の中で、静かにため息を吐きました。
私はもっと楽しく創作したいのに。
この思いは他の仮入部生徒にも思うところがあったようで、その事件以降部室に来なくなる人が数人出たほどです。それだけ、その日の批評会の雰囲気は悪く、やっていけるか不安に思わせてきたのです。
さて、そんな感じて結果的に私を合わせて4人が入部をしました。冷えた批評会を経験してきたものだ、面構えが違う。
私達が最初に作品を書いたのは六月ごろでした。先輩たちからお題を出してもらって簡単な作品を書いて簡易的な批評会を行いました。
その際に一人、青春ミステリー作品を書いてきて先輩方に大きな評価を受けていた人物がいました。私達三期生の代で部長になる人物。この後も数々の青春ミステリーを書くので彼はアオハルと呼びましょう。
彼は後に私の大学生活の中で最も創作の話を語り合った人物となります。なぜなら、そのアオハルと私には奇跡的な共通点があったからです。
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