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時は飛んで11月。この時期も大学のイベントがあり、文芸部は部誌を作ります。私たちの部誌デビューの時期であり、二つ上の一期生の引退の時期になります。
一期生の方々は、どちらかというと作品を書くために文芸部をしているというよりか。カードゲームやボードゲームをするたまり場として文芸部を利用している感じでした。しかし、常識があり器がありでまとめ役にはありがたい人たち。
私達は代替わりによって問題児ばかりの二年生が実質一番上になるのを恐れました。なんせ、次期部長はあのノブナガ先輩。仮入部の際に批評会で怒声を上げたあの人なのです。
私たちの上の代、二期生はノブナガ先輩が中心となって動くチームであり、彼女のわがままや不安定な情緒を支えていくという形が出来ていたのです。しかも、支える側がまともならばまだしも、キザ先輩のような少し変な人たちばかり。まさしく暗黒世代。
されど、これは部に入っているならあらがえないことです。代は一つづつ変わっていきます。私達には何もできない。
そうして、次期部長のノブナガ先輩が三期生の先輩方の指導の下、イベントに向けて活動の指揮を執り始めます。
ですが、この時の批評は落ち着いて出来ました。私たちの代もそれぞれ味のある作品を出して順調に進みます、キザ先輩の作品はいつも通り量が多く矛盾もありましたが前回のような激しい批評はなく終了。
ほっ、よかった。よかった。
……でも、これでいいのだろうか? 何というか、どこか暗いんですよね。文芸部の批評会って、作者を責めるような。
人間の心理的な問題です。エブリスタを使っている皆様ならお分かりいただけるのではないでしょうか。「読んであげる」という気持ち。誤字や矛盾を見つけたときの「あーあ、やちゃったねぇ」となる気持ち。
そう言った部分がこの文芸部の批評会にはありありと出ていたのです。
故に、お利口な作品を書かないと叩かれる、責められる。だから、先輩たちの作品は大人しいんだと私とアオハルは最初期の批評会の時から気づいていたのです。
だから私たちは、より自由で、されど文句ひとつ言わせない完成度の作品を出すことを二人で決めていました。私たちは、楽しく小説を書くために入部したのですから。
そして、私が提出した作品が『シュレーディンガーの殺人鬼』(現在エブリスタにも投稿してます!)。女装男子や、見た目が小学生の警察官、パンイチで夜道を走る主人公など遊び心をいれた作品にしたのです。今見ればけっこう恥ずかしい作品ですw
引退する一期生のの先輩から言われた「これ読んで、小説ってもっと自由に書いてもいいんやなって思えたわ」という言葉は今でもずっと覚えてるくらい嬉しい言葉だったです。
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