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さて、この合同展示会。一体何をするイベントなのか。それをまずご説明いたしましょう。
1.参加する各文芸部の部誌配布
2.各文芸部の良作を集めて一つの冊子を作り配布
3.六つのお題に対して、ショートショートをそれぞれの大学が書いき小さな冊子を作る。
4.それぞれの文芸部の過去部誌を集めて展示する
大体こんな感じでした。少し説明が難しい3についてもう少し詳しく説明すると。「花」という冊子を作るため、花をお題にしたショートショートや詩を各大学の代表者が書く。それが六つほどある感じです。
さて、ここで問題になるのが「配布用の新たな部誌」と「我が文芸部の良作を決める」ことです。
新たな部誌を作るために急ピッチで皆が作品を書きます。例年通りならば私たちは5月と11月にある大学の学祭でしか、部誌を作らないのです。やっと11月の部誌を作ったばかりなのに、また書き始めるのです。
中には、さすがに書けないと。過去作を出す人もいました。アオハルも筆が乗らなかったようで、六月に書いて先輩方から好評だった青春ミステリーを引っ張て来て乗せることにしました。
私がこの時書いたのは『僕枷ーボクカセー』(例によってエブリスタで投稿してます)でした。そこまで、挑むように方いたわけじゃなく普通に書きたいものを書いた感じです。
そして、この部誌はアオハルの提案で製本所に頼むことにしました。
「他の大学は製本しているのに、ウチだけが手作りじゃダサい」
その言葉にノブナガ先輩含める二期生の先輩方も納得したようでした。しかし、彼らは知りません。これもアオハルの計画なのです。このような、小さな部分からアオハルは少しずつ文芸部を変えようとしていくのです。
この時の批評も不思議なものでした。アオハルは積極的に批評会に参加して、必ず誤字脱字・矛盾点を指摘する合間に「この表現好きです」なんて唐突に言い出したり、批評会が終わると「面白かったです」と感想を口に出すようにしていました。
今まで批評会でそんなことを言う人はいなかったのです。先輩たちは「なんだこいつ、おもしろ」といった感じに彼のそう言った姿勢を笑っていました。
私はというと、そういう壁を破るようなことをする勇気は持ち合わせておりませんので、帰り路などでアオハルに「素直に褒めれるのはすごい」「ああいう言葉が小説を面白くする」などと、姑息にも背中を押す言葉をかけるしかできませんでした。
さて、ここまで聞けばとても順調のように聞こえるのではないでしょうか? アオハルの計画が順調に進行していき私たちは少しづつ変わっていきます。もはや、この文芸部は我々の手中に治められる寸前。
しかし、事件が起きるのです。「我が文芸部の良作を決める」。今考えれば、それのなんと恐ろしいことか。ご説明いたしましょう。
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