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さて、各大学の良作を集めて一冊の冊子にするということですが、私達は急遽参加なので、枠は一つしかありません。当然と言えば当然です。冊子を作る代金は向こうが完全に負担するのですから。無駄に分厚くはできません。
というわけで、我々三期生と、先輩方二期生が集まり部室のホワイトボートを囲んで会議が始まります。そしてなぜか、暇だったのかゼロ期生のOBの先輩も部室に遊びに来ててそれを眺めています。
ホワイトボートには二期生の先輩方が今まで書いてきた作品と、私達三期生が前回の部誌で描いた作品が並びます。ノブナガ先輩が指揮をとりながらまず一人二票をもって好きな作品に投票していく。そして、上位三作品に絞り再び一人一票で最良作品を決めるという流れになります。
もちろん、私達は先輩たちの過去作品の中では知らない作品があります。しかし、その作品たちは先輩たちの初めて書いた作品であったため、除外という流れになった気がします。
おわかりでしょうか? 私達が初めて部誌に乗せた作品はあるのに、先輩たちのそれはない。ハッキリ言います。実力差がありすぎました。
カクヨムコンで鍛えた私。
Twitterで創作のいろはを叩き込んできたアオハル。
高校時代文芸部部長であり、この部の中で一番才能があるカメラさん。
私とアオハルはよく話していました。「先輩たちのアレは小説ではない」と。
そして、票が集まり結果が出ました。
1位.カメラさん
2位.アオハル
3位.私
はい。上位三枠を私達三期生が独占してしまったのです。三期生は四人いるといいましたが、最初の一年は一人バイトが忙しくほぼ参加してない人がいました。
しかも、悪いことにこの一人二票という制度も悪かったと思います。私達、三期生は自分以外の二人に、その二票を使っていたのです。そこに、先輩方の票がそれぞれに入り、この結果。
その結果にノブナガ先輩がブチ切れたのです。
なんで? と思う方もいるかもしれません。私もそうでした。一人、二票の投票制にしたのは、ノブナガ先輩です。こうなることが予想できない傲慢さも彼女の弱点だったのかもしれません。先輩だし、部長だし、自分は選ばれるだろう。そう思っていたのかもしれません。しかし、私達三期生は小説に関してはシビアだったのです。
そして、ここが二期生の悪いところ。この二期生は前に説明いたした通り、ノブナガ先輩のわがまま暴走を支える形で結託していました。
「ノブナガさんが言ってることもわかる」「もう一回違う形でやった方がよくない?」
しかし、それにアオハルとカメラさんが反論します。「どうやったて結果は変わらないと思います」。例によって、私はそういう場に入っていけないので、ひやひやしながらそれを見ていました。
そして、結果が変わらない。再投票は無駄という意見は傍観していたゼロ期生のOBの口からも出てきました。
数字としてでた結果。同情のような声。反論してくる後輩、OB。
ついにノブナガ先輩は「もういい”!」と言って部室を出て行ってしまいました。
静まり帰った部室の中。すべてを見ていた。ゼロ期生のOBが私達三期生の方を向いて笑ってきました。面白がっているようで、同乗しているような笑顔でした。
「まぁ……頑張ってw」
「……はい。」
私達も苦笑いしかできませんでした。
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