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数分後、ロラン王子の前には純白のローブをまとった少年の姿がありました。
「魔術師のコルトと申します」
片膝をつき、さげていた頭を戻します。きりりとした太眉とまっすぐな瞳がきまじめな印象。信頼するアルマンの紹介ということもあり、ロラン王子はいっぺんで心を許します。
「いいって、そういうの。かたくるしいの苦手だから楽にしちゃってよ」
「ですが……」
「ほんと全然。アルマンなんて、さっき俺のこと普通に痛めつけたくらいだし」
笑いとばし、ロラン王子が椅子をすすめます。王族から対等に扱われたことのないコルトはかたくなに拒みますが、この人に遠慮は無用というアルマンの後押しでようよう着席しました。
コルトにも同柄のカップがおかれ、お茶がそそがれます。リラックス効果のある柑橘の香りが漂っても、緊張しきりの彼にはあまり効き目がありません。
「コルト、年いくつ?」
「じゅ、十七になります」
「へえ、若いね。アルマンより年下じゃん」
「そ、そうですね、三つほど」
「旅の途中なんだっけ?」
「あ……はい、そうです」
気さくに話しかけるロラン王子ですが、コルトはどぎまぎしどおしです。
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