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「いつアルマンと知りあいになったのさ」
「三か月ほど前です。手持ちが心許なくなって城下で便利屋まがいのことをしていたら、噂をお聞きになったアルマンさんが声をかけてくださいまして……」
「そんな前から? 俺、知らなかったんだけど」
ロラン王子が不服げに隣を睥睨。
「なんで紹介してくんなかったのさ、アルマン」
「そのころ殿下は花屋の娘さんに夢中でいらしたでしょう」
「それはそれ、これはこれでしょ」
「だったらなおさら。私は私、殿下は殿下ということで」
「つれない!」
言葉づかいは敬意をはらっている体でも、身分の差を感じさせないどころか逆転しているのではと思われる二人に、コルトが相好を崩します。それを見てとったロラン王子が話を核心へ。
「で、ニリオン国までどのくらいかかりそうかな」
人懐っこいほほえみもあり、コルトのこわばりはしだいに緩和。ぎこちなかった唇も上手に動くようになります。
「私の力量ですと、恥ずかしながら途中に休息をいただきたいので数日は必要かと」
「そんなにすぐ着いちゃうの!」
まん丸に目をむき、ロラン王子が身を乗りだします。
「もしかしてコルトって偉い魔術師?」
「とんでもない! 私はまだ未熟者です。上級の使い手なら、もっと短期間で移動できます」
「でも数日でいけちゃうんでしょ。すっごいじゃーん!」
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