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諸手をあげて称賛したロラン王子が、そのままウーンと伸びをします。
「そんなんだったら、もう馬車いらないじゃん。てか、なんで今までうちの城、魔術師いなかったのって話じゃん。いくら希少な存在でも、王家なんだから一人や二人いてもよくない?」
「いますよ。国王陛下にも王太子殿下にも、それぞれ専属が」
「なっ……なにそれ初耳なんだけど!」
ロラン王子が魔術師を抱えようものなら必ずろくなことにならないだろう、という国王判断のもと知らされていなかったのですが、それを正直に告げるわけにいかないアルマンは、もっとも効果的な回答を瞬時に弾きだします。
「殿下には私がいるでしょう」
「え、ちょ、いや……そ、そうだけど、やめてよ、そんな急に言うのとか」
照れくさそうに頬をそめたロラン王子。アルマンのもくろみどおり、すっかり気をとりなおし元気よくテーブルを打ちます。
「よし、そうと決まれば準備しないと! あ、父上とかに話つけるのよろしくね、アルマン」
「承知いたしました」
誰の目にもあきらか手のひらで転がされるロラン王子に、コルトが袖のかげでアルマンにささやきます。
「無礼を承知で申し上げるんですが、もしかして殿下って少し……」
「うん、あまり賢いほうじゃないよね」
「い、いいんですか、そんなこと言って」
「悪いと思う?」
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