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ならばもっと別の方法があるのでは、といさめるのが本来の忠臣のつとめでしょうが、言いだしたらきかない性質を理解しているアルマンは、顔を洗いおえ服に袖をとおすロラン王子を従順に手伝うだけです。
「さっそくお相手を探さないとなぁ」
「目星をつけていないのに、そんなこと言ったんですか」
「だって、さっき思いついたんだもん」
椅子に座し、ふわふわの栗色の髪を整えられながらロラン王子が気持ちよさそうに目をふせます。
「第二王子ってことでわりかし自由に女の子たちと仲良くさせてもらってきたけど、いざ結婚となるとなぁ。こんなこと言うの嫌だけど、家柄とか必要になってきそうだよね」
「それで私に候補者を見つけろと」
「話が早くて助かるよ。アルマンは俺の好みを把握してくれてるから、安心して任せられるし」
「承知いたしました」
ことんとブラシをおく音を合図、ロラン王子のまぶたが開かれます。母親ゆずりのエメラルド色の目が鏡ごしにアルマンのこげ茶色とかちあうと、ロラン王子はニッと笑ってみせました。
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