はじまりはじまり

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 やにわに声を大きくしたロラン王子をアルマンがたしなめます。 「さすがに早すぎやしませんか。まだ会ったこともないのに」 「こういうのは、ひらめきが重要だと思うんだよね。てか見た瞬間『これ運命!』って思ったもん。かつてないインパクトで」  再四まじまじ、ミヤ姫を眺めるロラン王子。頭のなかに薔薇色の生活が広がります。  慈愛の姫君とうたわれるくらいだから、欠点の多い自分のことも嫌な顔をせず献身的に支えてくれるに違いない。きっと仲睦まじく幸せに暮らせるだろう。  子どもは何人いてもいい。王子だったらば(たくま)しく、自分に似て男前になるはずだ。姫ならばミヤ姫のように心優しく愛らしくなるだろうから、変な虫が近づかないように気をつけなければいけない――。 「でしたら、ひとつ問題が」  アルマンの声に現実へとひき戻されます。 「はぁん、そうなの? でもまあ、こんなかわいい子と結婚するなら問題くらいあるよね。いいよ全然、頑張っちゃうから。ふんふふんふーん」  返事をすれど心ここにあらず、ロラン王子は鼻歌まじり。ですが次の言葉で、それは瞬く間かき消されてしまうことになりました。 「女王という名の小姑付きです」
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