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「……は?」
思わぬことで正気づいたロラン王子にアルマンが、ミヤ姫についての詳細情報を補足します。
ニリオン国を統治するチトセ女王のたった一人の妹君であること。早くにご両親を亡くしたためチトセ女王はミヤ姫を溺愛し、いかなる理由でも手放さないだろうこと。ましてや遠く離れたエトワルン国へ嫁がせるなぞ天地がひっくり返ってもありえないこと、など。
「じゃあ、もし結婚するなら俺が婿入りしなきゃいけないってことか。国を離れるのに未練はないけど、この離宮は惜しいかな。おばあさまとの思い出もあるし。それにやっぱ小姑付きはなぁ。いろいろ面倒くさそうだよね」
ため息のロラン王子。アルマンが手早く魔術画を回収します。
「では諦めましょう。ほかにも候補者はいます」
「え、嫌だよ。俺の運命的直感どうしてくれんのって話になるじゃん」
「ですがチトセ女王は、自分のもとからミヤ姫を奪う輩が現れようものなら迷わず処刑台おくりにするかもしれません」
「なにその女王様、めちゃめちゃ怖いんだけど」
不満げに腕組みをしたロラン王子。やがて思案顔がぱっと晴れやかになりました。
「そうだ、駆け落ちしちゃえばいいよ! 憧れてたんだよね。ドラマチックじゃん。もちろんアルマンはついてきてくれるよね」
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