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相当手慣れている。
女が悦ぶ場所を熟知しているようで、私はただ彼に身を預けていた。
一夜の過ちと彼は言ったけれど、不思議なことに私たちの関係は一夜で終わることはなかった。
最初のうちは何度かホテル近くで待ち合わせをして体を重ねる。
互いに体目的のやり取りを繰り返した後、私が一人暮らしをしていると知り、ついには家にまで来るようになった。
その頻度も徐々に増えていき、最終的には居候と言っても過言ではないほど入り浸っていた。
とはいえ互いに余計な干渉はしない。
プライベートに関しては一切踏み入れたことはなかった。
そのため彼が他の女性と会う時もあれば、私が別の男と付き合っていた時期もあった。
二人の時間ができた時も、どちらかが“その気”でなければ体を重ねることはない。
二人同時に性的欲求が現れた時、初めて体を重ねた。
ただのセフレではない。
驚くほど互いのことを理解していた。
恋愛感情というものは一切抱かなかったけれど、本当に彼とは良い関係を築けたものだ。
驚くことに、社会人になってもその関係は続いた。
次の日に仕事があるという時ですら、私たちは体を重ねた。
普通に寝る時よりも元気になれる日があったため、性の力とは本当に不思議だ。
そして何より、今も続く私たちの関係が不思議でたまらなかった。
喧嘩もしない。
互いのことを知ろうともしない。
事実、私はもう彼の名前を忘れてしまった。
合コンの日、彼は何と呼ばれていたのかも思い出せない。
聞けば済む話なのだが、別に名前を知りたいとも思わない。
『ねぇ』
『なに?』
それだけで私たちの会話は成立するのだから。
そのような関係がこれからも続くのだろうと勝手に思っていた矢先、別れは突然訪れてきた。
「転勤?」
「そう。上司に今日言われた」
社会人になって三年目の冬。
彼の転勤が決まったらしい。
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