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ある日、人類の二十四分の一が異形の怪物になった。
人々は彼らを避けた。
仕方もない。
彼らは恐ろしく醜かった。
彼らは、肌の質も、顔の成りも、指や、目の数も、皆それぞれであったが、皆共通して、人のそれとは全く違った奇妙な構造であった。
未曾有の自体に政府の対応は遅れに遅れ、皆不安ながらも、彼らと共生することとなった。
一週間後、飲食店では、彼らの立ち入りを禁じる店も現れ始めた。
仕方がないと、私は思った。当たり前だ。気の毒だがあんな姿、食事中に視界に入れるのは遠慮したい。
まだ立ち入りを禁止していない店も所々あったし、何か買って家で食べるなりする手もあるだろう。
そう思った。
一ヶ月後、大手鉄道会社は、専用の車両を儲け始めた。
良い案だと、私は思った。
正直彼らも一般車両では肩身が狭いだろうし、私達も同じ車両にのるのは避けたいところである。
両者に理のある、良い案だと思った。
三ヶ月後、共存のための区別は随分と進んできた。
大きな施設では、男女とは別に彼らの為の三種目のトイレを設置することが一般化してきた。
銭湯なんかでも、刺青と一緒に、出入りを制限する注意書きがしてある。
中には、異形専用の時間を儲ける場所なんかもあったりする。
テレビなんかをつけると、『化け物タレント』なんてのが流行ってたりして、世の中進んだものだなぁ、なんて、思ったりもした。
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