雪原照らす月

2/6
前へ
/6ページ
次へ
三日三晩飲まず食わずに戦い続けた狐は満身創痍、傷付けられた所からは血も妖気も止めどなく流れ出している。 明々白々、狐は劣勢に立たされていた。 それでも尚、抗うように九つに分かれた立派な尾を振り回し、月光に照らされても尚、闇よりも深い色の毛並みを持つ大狐は憎悪にその赤眼を細めた。ぎりりと牙を鳴らし、残り僅かな力で四肢を奮い立たせ、身体を持ち上げた。 『憎ィ......憎イィ......!!』 陰陽師は九尾を見据えると、左右上下に九字印を切る。 臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加