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オオ、なんていい天気!
暖かい……いや、暑いくらいさ。
そしてどうだい、サクラ、さくら。桜がマンカイ!!
久しぶりに日本へ来たかいがあった。
可憐で気高くて。そして圧倒的な存在感。
まさに東洋の美女の様だね。
アナタに会うのに普段着では失礼かと思って、今日の私は紺のジャケットにスラックスさ。歳は取っても紳士のつもりだよ。
この素晴らしい花を愛でながら公園で酒を呑む人々。ハナミ、いいね。そのうち私もやってみたいよ。
『マスター。後方12メートル、犬ヲ連レタ男ニ銃器反応アリ。
追跡者ト思ワレマス』
せっかくいい気持ちになっているのに。
スマホの中にいる相棒のスーパーAI、KARI-BOOが敵の接近をテレパシーで知らせてくれる。
まあそんな気はしてたんだ。
やけに大柄だし、桜じゃなくて周囲の人ばかり見ている。
犬の動きも怪しい。この陽気の中でも舌を出してハアハアしていないのさ。
『KARI-BOO、あの追跡者を照会できるかい?』
『現在ノ情報カラデハ不可能デス』
さて今日の追っ手はいつものCIAか、それとも……
私は桜を見上げ、太い幹を撫でながらゆっくりと一周する。彼等の死角に入る為だ。
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